今季のDeNAを支えたのが強力クリーンアップだ。筒香、ロペスの2人はもちろんだが、特に宮崎の飛躍が大きい。劣勢の展開でも一気に試合をひっくり返す爆発力。その典型が8月22日広島戦で3点差の9回に生まれた大逆転劇だろう。CSの舞台でもこの3人が存在感を発揮すれば、勝利は近づく。 写真=桜井ひとし 主軸が固まり浮上
漫画のような光景が、現実に起きてしまうから面白い。ファンを虜とりこにし、球史にも残るようなミラクルゲーム。8月22日の広島戦[横浜]がそれだった。9回表を終えて3点を追う展開。DeNAベンチ、そしてクリーンアップの3人はすさまじい集中力を発揮した。まず三番の
筒香嘉智。無死一塁から右翼最上部へ2ランを運んだ。続くロペスは左翼席へ同点アーチ。最後に
宮崎敏郎が決め、プロ野球史上初の「3者連続本塁打によるサヨナラ勝ち」とヨコハマ劇場を仕上げた。
昨季2冠(44本塁打、110打点)の筒香を、ロペスと宮崎で挟むのが当初の構想だった。ところが、WBC帰りの筒香が4月を終えて1本塁打。破壊力という点では十分に機能しなかった。ロペスは3割を超える打率で奮闘したものの、4月には宮崎が故障離脱を経験。
ラミレス監督は三番に
梶谷隆幸を入れるなど試行錯誤を続けた。中軸が固まり始めたのが、5月4日の
巨人戦[東京ドーム]。借金を抱えていたが、まったく慌てる時期ではなかった。ただ、唯一の不安だったのが筒香の状態。6月23日の
ヤクルト戦[神宮]から4試合で4発と量産しても、10本塁打と物足りなかった。
「2アウトで四番に回ると、勝負を避けられることが多くなる。後ろにロペスと宮崎がいればメンタル的にも楽になるだろう」。分岐点になったのは6月30日の巨人戦[宇都宮]。ラミレス監督は筒香を三番に上げ、ロペス、宮崎へつなげる打順変更を決断した。大きな賭けが結果として当たり、7月は12勝1分け8敗、8月も13勝11敗と夏場を勝ち越した。今季から複数年契約を結ぶロペスは好待遇におごらず、アメリカ・アリゾナで過酷な自主トレを積みシーズンイン。初めて100キロを切る体重はキレを生み、リーグトップの105打点と結果を残した。「ツツゴウは特別な存在。彼がチームのために何を考え、行動してきたかを見てきたから……」。巨人から移籍3年目で、仲間への思いは深まるばかり。筒香も28本塁打、94打点とさすがの復調を見せ、リーグ3位の出塁率.396は立派だ。
リーグ優勝には届かなかったものの、2年連続でCS進出。忘れてはいけないのが宮崎の充実ぶりだ。5月に復帰後はヒットを重ね、月間打率は8月の.270が最低。すべて3割を超え、プロ5年目で初めて首位打者のタイトルを手中に収めた。普段から物静かで「僕はそこまでの選手じゃないので……」と好感が持てる謙虚さ。523打席で47三振は確実性の高さを示す数字だろう。残り5試合の時点で「四番・筒香」に戻し、
阪神とのCS1STステージは“元サヤ”で挑むことになりそうだ。「剛-超剛-柔」と豊富なバリエーションで、今度こそ頂点まで勝ち上がる。
3連発サヨナラの衝撃!
8月22日広島戦[横浜スタジアム]○6x-5広島 おそらくベイファンの間では語り継がれる“伝説の一夜”となるだろう。2対5で迎えた9回裏、先頭の柴田が右前打で出塁すると三番・筒香の追撃2ランで1点差。さらに四番・ロペスのソロが飛び出し、土壇場で同点とする。球場が異様な雰囲気に包まれるなか、打席に入ったのは「むっちゃ緊張しました」という宮崎。今村からサヨナラソロを左翼スタンドにたたき込み、神がかり的な逆転勝利を飾った。