
1998年夏の甲子園を制した横浜高・松坂[写真上]と、2008年の全国制覇の立役者となった大阪桐蔭高・浅村[写真下]。80、90回記念大会に続いて、100回大会も新怪物が出現するか!?
「平成の怪物」と言われた
松坂大輔は2018年、どこのユニフォームを着るか決まっていない(※1月23日、
中日の入団テストを受け、入団が決まった)。横浜高(神奈川)のエースとして、史上5校目の甲子園春夏連覇を遂げてから20年である。
18年、春のセンバツは第90回、そして夏の選手権は第100回の記念大会を迎える。春は例年よりも4校増の36校、夏は史上最多56校が出場。夏は第60回大会から全都道府県1代表(北海道、東京は2代表)の49校となった。第80回大会は千葉、埼玉、神奈川、愛知、大阪、兵庫が2代表で55校、今夏は福岡も2代表で56校。試合数が増えれば球児がアピールするチャンスは多くなり、新ヒーロー誕生の夢も広がる。
98年夏は松坂が主役の座をつかんだが、ドラフトにおいても高校生が「大豊作」だった。1位指名は松坂(
西武)以外にも、沖縄水産高・
新垣渚(
オリックス拒否、九州共立大を経て2002年、ダイエーに自由獲得枠で入団)、敦賀気比高・
東出輝裕(
広島)、高知商高・
藤川球児(
阪神)など、全12球団中8球団を占めた。以降も同年代の勢いは止まらず、社会人組では01年に三菱重工長崎・
杉内俊哉(ダイエー、鹿児島実高)、02年がドラフト解禁年の大学進学組では早大・
和田毅(ダイエー、浜田高)、日大・
村田修一(横浜、東福岡高)らが自由獲得枠で入団。いわゆる「松坂世代」が、プロ野球界で一時代を築いた。
「松坂世代」を凌駕する!?「ミレニアル世代」
10年後の第90回大会(08年)夏は、大阪桐蔭高が2度目の全国制覇。17年ぶりの全国優勝に貢献したのは超攻撃的一番・遊撃手の
浅村栄斗(西武)だ。昨夏の広陵高・
中村奨成(広島)と同様、試合を重ねるたびに評価を高め、まさしく「甲子園の申し子」として、超満員のスタンドを味方につけた。
松坂から20年後の今年も、大阪桐蔭高には有力選手が顔をそろえる。今回の特集では
根尾昂、
藤原恭大をカラー、
柿木蓮、
横川凱の両投手をモノクロで掲載(※本誌にて掲載)。一部報道では同校を「銀河系軍団」と表現しているが、4人以外の選手を見ても、潜在能力は全国屈指。出場が確実な今春のセンバツでは史上3校目の連覇、さらに夏の大阪大会を勝ち上がった先には、史上初の2度目(阪神・
藤浪晋太郎を擁した2012年以来)の甲子園春夏連覇への期待もふくらむ。同校以外の各校も、100回大会を照準にしており「松坂世代」を凌駕する「ミレニアル世代」の躍進が待たれる。
さて、長年「甲子園には魔物が棲む」という、俗説がある。大舞台で冷静にプレーできないケースに使われるが、逆の展開もある。アドレナリンが好作用するケース。昨夏、1大会個人最多6本塁打を甲子園した広陵高・中村も「結果を出せているのは、甲子園の力」と、技術以外の要素があると認めていた。甲子園不出場でも、一流のプロになる可能性はある。とはいえ、スター選手への登竜門として、ファンが身近に受け入れやすいのが甲子園、というのは事実だ。
早実・
清宮幸太郎(
日本ハム)が1年生で出場した15年夏は、早朝から大変な騒ぎだった。阪神梅田駅のホームは、6時発の直通特急を待つ客であふれ、乗車制限が入るほど。到着後も、チケット売り場にはすでに長蛇の列ができていた。ネット裏席では、NPB12球団のスカウトが、試合前のシートノックから熱視線を送る。夢舞台に立つ球児と、球場の独特な雰囲気が一体となり、ドラフト候補が生まれる。タイブレークが導入される2018年夏に「平成最後の怪物」は出現するか──。