異様なまでの興奮が球場を包んだ。1994年のブレーク以来、5年連続首位打者を続けてきたオリックスのイチローと横浜高時代、“平成の怪物”と言われた西武の新人・松坂大輔の初対決。それは孤高の存在になりつつあった“史上最高の天才打者”に、新たなるライバルが登場した日でもあった。 
イチローを3つめの三振に打ち取り、後ろを向いて拳を握りしめた松坂
衝撃の3三振
「彼が優れているのは、手と目の(ハンド・アイ)コーディネーションだ」
そうイチローの打撃を評価したのは、先だって背番号51のメジャー通算3089安打を抜いたアルバート・プホルス(エンゼルス)だ。卓越したバットコントロールでミートする技術で世界記録となる日米通算4367安打をマークした安打製造機。だが、そのイチローが「頭で思ったことと体で思ったことが違った。頭で出した指示が体に伝わらなかったことが、悔しかった」と脱帽したのが1999年、高卒1年目の松坂大輔(西武)との初対決だった。
オリックスで5年連続首位打者に輝いていたイチローとデビュー戦で155キロをマークした松坂。5月16日、天才と怪物の初遭遇に西武ドームに集まった5万人の大観衆の期待感が充満していた。1回表二死走者なし。打席に入ったイチローは捕手の
中嶋聡に・・・
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