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楽天・辰己涼介インタビュー 食らいつく日々 「打席でも塁上でも、常に嫌がられる選手になりたい」

 

試合を重ねるごとに、本領を発揮しつつある。ドラフト会議ではロッテ藤原恭大の“外れ1位”で指名されて入団。開幕スタメンこそ逃したが、一軍でレギュラーの座をつかみ、攻守走のすべてでアピールを続けている。しかし本人に満足感はまだない。首位争いを演じる好調チームをけん引する活躍を見せるつもりだ。
※成績・記録は6月16日時点 取材・構成=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎、BBM


大きな意味があった二軍での時間


──ここまで一軍で試合を重ねていますが、プロでの生活には慣れましたか。

辰己 だいぶ流れもつかんできましたし、同期の同級生が3人(太田光渡邊佳明小郷裕哉)も上がってきてくれて気持ち的にもだいぶラクになっていると思います。自分もそうやし、みんなで活躍できればいいなと思いますね。

──プロの世界は想像していたものと比べてギャップはありましたか。

辰己 最初は、自分がすごく活躍してすぐにスターになれるんかなと思っていたんですけど、そうじゃなかった。やっぱりプロの壁というのは高くて、簡単に打たせてもらえない、簡単に走れない、守備でも簡単に打球を処理できないというシーズンのスタートで。そこから二軍に落ちてっていうふうに、壁にぶちあたって……。今もずっと壁は立ちはだかっていますけど、僕はポジティブな人間なので、最初からそううまいこといくわけないか、と切り替えて今はやっています。

──今立ちはだかっている壁とは。

辰己 数字を見てもらって分かるように、三振も多いし、打率も低いし、ホームランも少ない(6月14日に2本塁打目)、長打率も出塁率も低い、すべてが低い。やっと少しだけ、走塁だったり守備で貢献し始められたのかなとは思いますけど、そこは自分の能力でしかやれていないので、もっと技術を磨いていきたいです。走塁とか守備だったらもっと上にいけると思うので、1年目は必死に食らいついて、2年目以降にまた経験を重ねてやっていきたいなと思います。

6月14日の広島戦[楽天生命パーク]では球団新記録となるチーム7本目の本塁打をマークした


──4月22日に登録抹消され、二軍で調整することになりました。その10日間は、どういった課題を持って過ごしていたのでしょうか。

辰己 すべて一回、フラットに戻しました。打撃はちょっと考え過ぎていたところを、大きくトップを作ってシンプルにボールを打つというように、ゼロに戻す取り組みをしていきましたね。走塁に関してはもともとゼロだったので、知識のないところにさまざまな知識を教えてもらって、自分に合う形というのを作っていきました。特に走塁は二軍での経験は大きかったと思いますし、守備でも抜け目のない守備、カバーリングだったりポジショニング、一歩目のスタートの早さというのを意識して練習に取り組むことができました。二軍ではいい意味でリフレッシュもでき、悔しさをバネにしっかり練習に取り組めた期間でしたし、すごくありがたい環境だったと思っています。

──打撃に関しては、試合を重ねるごとに自分の形が崩れてしまっていた。

辰己 そういう部分もありました。小さくなって当てにいってた部分もあったりして、一度その悪い自分を忘れる意味で、シンプルに戻しましたね。

──新しく作ったというよりは戻した、という感覚。

辰己 そうですね。打撃に関しては進歩はしてないですね。退化していってる感じです(苦笑)。

──ですが、一軍昇格直後の5月8日のソフトバンク戦(楽天生命パーク)ではプロ初となるサヨナラ安打。大きな自信になったのではないかと思いますが。

辰己 あれは、チームがつないでいい状況で回してもらったのと・・・

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