序盤出遅れた広島が5月に首位に立ったのは、この助っ人のバットが最大の要因であったと言って過言ではない。交流戦終盤にバットが湿ったが、この男の脅威のバット復活こそ、反撃ののろしになるはずだ。 文=江尾卓也(スポーツニッポン新聞社) 写真=松村真行 
交流戦は打率.213と振るわないが、それでも通算は打率.281、15本塁打、44打点
広島は開幕直後、戦う形をつくれず最下位に沈んだ。4月から巻き返し、セ・リーグの首位に立った。快進撃を支えた要因の一つが、
バティスタの打撃だ。4月下旬から三番・一塁に固定され、猛烈な勢いで打ちまくってきた。
開幕スタメンにバティスタの名前はなかった。オープン戦は14試合に出場し、35打数9安打の打率.257。2本塁打を記録したが、打撃の粗さが目立った。打ちたいと思うあまり、外角のボールになる変化球に手を出し、空振りするケースが散見された。開幕戦は競争相手の
松山竜平が五番・一塁で起用され、代打での出場にとどまった。
松山の不調により、徐々に出番が増えた。4月半ばまで、代打では10打数1安打の打率1割だったが、4月29日から三番に固定され、驚異の長打力を発揮し始めた。
打棒爆発の要因は、相手バッテリーの傾向を的確にとらえたことだ。その傾向を「四番が鈴木なので甘い球が来る」と自ら説明する。相手は四番・
鈴木誠也との勝負を避けたいがため、三番の自分に勝負を挑んでくる。だから、四球覚悟で際どいところを突いてくるケースが減る。ストライクゾーンを絞って待てるようになった。
5月は打率.352、10本塁打、21打点。結果が出ることで余裕が生まれ、ボールになる外角の変化球を見逃せるようになった。それどころか、外の変化球を狙い打ちするケースも出てきた。こうなると手がつけられない。
25本塁打を記録した昨年から、さらに進化している。交流戦までに15本塁打を記録し、交流戦に入ってもアーチを重ねた。6月4日の
西武戦(メットライフ)では
今井達也から、5日の同カードでは
森脇亮介から一発を放ち、11日の
日本ハム戦(札幌ドーム)では
ロドリゲスから中越え弾を放った。自己ベスト更新どころか、タイトルも照準に入ってくる打ちっぷり。
18日の
ロッテ戦(マツダ広島)から4試合連続無安打、8三振。“悪いときのバティスタ”が出たが、スタメンを外された22日の
オリックス戦(マツダ広島)では、代打出場でセンター前、次の打席では低めへの変化球を我慢し、四球を選んだ。まだ本調子ではないが、研究熱心な選手だけに同じ轍は踏むまい。
チーム事情で打順が変更されることはあっても、バティスタは相手チームの脅威であり続け、また脅威であることが、カープの反撃にもつながっていくはずだ。