「好投手」が「勝てる投手」になった。6月の全日本大学選手権を38年ぶりに制し、正真正銘のトップ評価を手にしたと言っていい。高校時代も上位候補にリストアップされていた逸材は、有意義な大学4年間を経て「即戦力」として期待される。 取材・文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎 
一冬をかけてフォーム修正に取り組み、今春の安定した投球につながった。最速155キロに大きくタテ変化するカーブが効果的な緩急である
広島一筋、キャリア42年目の超ベテランである
苑田聡彦スカウト統括部長(74歳)が、神宮ネット裏に座る席は決まっている。投手の球筋だけでなく、野手の動きもチェックできる絶好のポジション。
森下暢仁の投球も4年間、同じ角度から追ってきただけに、成長過程を最もよく知る。佛教大との大学選手権決勝(6月17日)。明大の先発・森下は7安打完投勝利(6対1)で、38年ぶりの日本一へと導いた。東洋大との準々決勝も108球で7安打完封。決勝も105球の省エネ投球を披露。背番号10の主将が、全国の頂点に立っている。
「高校時代(大分商高)も大分で見ていますが『プロへ行くだろう!』と、当時からキレの良いボールを投げていました。この4年間で、うまいこと上げてきましたね。(ドラフト1位で)競合しますよ。春先までは、冗談で佐々木(
佐々木朗希。大船渡高)に全12球団が入札して、(外れた)11球団で(第2回入札を)ヨーイドン! なんて話もしていましたが、森下には5~6球団が来るかもしれない」
プロの目には、どこが魅力に映るのか。最速155キロを誇る真っすぐの球筋に大きな変化が出たという。苑田スカウト統括部長は続ける。
「昨秋までは147、8キロのストレートが高めに浮いていて、低めは136、7キロ。でもこの春は151キロが、低めにコントロールされている。軸足でしっかり立って、重心が安定している。最近のピッチャーはあまり投げなくなったカーブも良いですから、左打者の内角低め(右打者ならば外角低め)のポン! というストレートがより生きてくる」
森下の武器は、投げるだけではない。佛教大との決勝でも・・・
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