巨人に対し4連勝スイープ。巨人打線を完全に封じ込め付け入るスキさえ与えないほどの強さだった。この強さの要因は短期決戦慣れした工藤公康監督の「相手のキーマンを丸裸」にする分析力と、「目の前の試合」を勝ちにいく「決断の速さ」にあった。 取材・文=喜瀬雅則 写真=BBM 
短期決戦の怖さを知り尽くしている工藤監督は、非情に思われる采配でも勝利のために決断し実行。それが4連勝での日本一につながった
巨人のキーマン・坂本勇の得意な内角を有効に利用
パ連覇の
西武に続き、セの覇者・巨人までもが、
ソフトバンクの強さに一蹴された感すらあった。ポストシーズン10連勝で3年連続日本一の快挙を達成した。監督5年目、4度の日本シリーズ出場で、4度とも日本一。いまや「短期決戦の鬼」とまで呼ばれる指揮官・工藤公康だが、その無類の強さの裏側には、実にち密な戦略が隠されている。
打線をいかにして分断するか──。
その戦略が、きっちりと浸透している手応えを指揮官自身が明かしたのは、本拠地・ヤフオクドームで連勝発進した翌日、10月21日の練習を終えたときのことだった。
「しっかりと準備してくれている。打たせないのがベストだけど、打たれることだってある。最少失点で抑えて大量点に結びつけないこと。相手だって、無抵抗ということはないと思いますからね」
日本シリーズは4戦先勝。休養日を含めて最大9日間しかない。不調に陥れば復調する時間がなく、焦りを生む。リーダー格のプレーヤーがブレーキとなれば、チーム全体の士気も落ちる。その悪循環を相手に生じさせることができれば、形勢は一気に傾いてくる。その気配は・・・
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