東洋大でともに汗を流した同級生3投手が、一昨年のドラフトで指名を受けた。自身は4年間でリーグ戦未勝利に終わったが、昨年入社した社会人で素材を開花。会社に恩返しをした上で「プロ」を見据えている。 取材・文=岡本朋祐 写真=大賀章好 
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、現在は限られた環境、時間内で汗を流している。写真は3月20日過ぎ、全体練習時に撮影したものだ
2018年10月25日のドラフト当日、
藤井聖は東洋大白山キャンパスでチームメートの指名をじっと待っていた。
上茶谷大河(
DeNA1位)、
甲斐野央(
ソフトバンク1位)、
梅津晃大(
中日2位)、そして、最後に主将・
中川圭太が
オリックス7位で名前が呼ばれた。プロ志望届を提出した4人全員に吉報が届き、記念撮影がスタート。4年間、苦楽をともにした同級生を心から祝福している。
「中川の真後ろにいました。テレビにも、もろに映っていたようで恥ずかしかったです……(苦笑)。2年後は自分が、と思いました」
両手を突き上げガッツポーズし、当事者よりも喜んでいるように見えるが、目立ちたかったわけではない。お互いを認め合う間柄だったからこそ、素直な感情が出たのである。
プロへ進んだ上茶谷、甲斐野、梅津の右腕3人以外にも、同年の東洋大は藤井を含めた左腕3人もベンチ入り。4年生6人が投手陣の軸だった。2学年下で16年春のセンバツ優勝投手の
村上頌樹(現4年・智弁学園高)も1年時には年間3勝を挙げたが、“6人衆”がいた2年時は春秋で6試合(0勝1敗)の登板。20年のドラフト候補右腕でさえも影に隠れるほど、当時の東洋大の投手スタッフは層が厚かった。150キロ左腕・藤井は4年間、東都大学リーグ戦10試合の登板で未勝利に終わっている。
「3年時まで指導していただいた高橋昭雄監督も『46年やってきたが、同学年で6人の投手がメンバーにいるのは例がない』と言っていました。いま、社会人でプレーしている中田浩貴(日本通運)と阿部博光(SUBARU)はライバル視していますし、負けたくありません。5人の投手とも目的意識が高い。こんなエピソードも・・・
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