キャッチャーとして15年、引退後も、監督やコーチ、そして評論家として、さまざまなエースを見てきた達川光男氏(元広島)に、現役時代にバッテリーを組んだエースの北別府学の姿を中心に、エースの条件を考えていただいた。 取材・構成=藤本泰祐 写真=BBM 
達川氏[右]の現役時代に長く広島のエースだった北別府学[中央]。1球への執念と、チームの勝敗を背負う姿がエースらしかった。左は当時の山本浩二監督
勝てる、さらには「負けない」ことも条件
高校野球なら、背番号「1」を着けている選手が文句なくエースとなるんだろうけど、プロ野球では、価値観もいろいろあるし、エースを定義するのはなかなか難しいですね。
例えば、そのシーズンの開幕投手と重なることはまあ多いんだけれども、最近では相手チームや球場との相性で必ずしもエースが開幕戦に投げない、ということもありますしね。
分かりやすくひと言でいうなら、大黒柱。「チームで一番頼りになるピッチャー」でしょうね。それまでの実績プラス、そのときの実力で、誰もが認める存在だと思います。
最近はよく「右のエース」とか、「左のエース」とか、「抑えのエース」とか、さらには「中継ぎエース」なんて簡単に言うけど、やっぱりそれでは「エース」という言葉が軽くなってしまうし、あんまり簡単に使うべき言葉ではないよね。やっぱりエースはチームに2人おっちゃいけんと思いますよ。
まずは「そのピッチャーが投げるときは勝つ」とチームの皆が思うことが必要ですから、勝てないとダメですよね。3回投げたらそのうち2回は勝てるぐらいでないと。2ケタ勝利して負けは1ケタとか。当然、勝率はそのチームの勝率より勝っていないといけないですよね。そういう感じで、勝つピッチャー、さらに言えば・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン