巨人で活躍しDeNAで監督を務めた「絶好調男」中畑清氏に2020年のプロ野球がどうなるのか予想してもらった。選手たちが新型コロナウイルスを撃退するくらい全力プレーをすれば野球のレベルも上がる、そういうシーズンになってほしい! と熱く語った。 取材・構成=椎屋博幸、写真=BBM 
観客席もソーシャルディスタンスを取る中で、ファンとの盛り上がりの距離感により、選手たちのパフォーマンスにも差が生じる?
大きな喜びを感じろ!
今季のプロ野球は、6月19日開幕となり、従来の143試合から120試合で優勝を決めることになった。その中で例年と違うのは交流戦が中止になり、クライマックスシリーズ(CS)も中止になりそうな流れになっていることだ。 120試合で戦うというのは、私の現役時代のようなシーズンの流れに戻るかな、と感じています。1980年代は、130試合でシーズンを戦い、日本シリーズでセ・パの優勝チームが顔を合わせ、覇権を争った時代。交流戦は当然なかったですし、クライマックスシリーズのように2、3位が日本シリーズに出られるというチャンスもなかった。
そのCSは、セ・リーグでは中止の方向だと聞いているので、優勝に重きを置けるシーズンになると思いますよね。それにより、もう一度、交流戦やCSの在り方を見直すいい機会になるんじゃないかな、と。ただCSに関して一つお願いしたいのは、セ・パともに同じルールに統一してほしいということです。
パ・リーグがCSを中止にすれば、必然的に日本シリーズの価値が非常に高くなるでしょう。私の現役当時、シリーズは雌雄を決すという、まさに意地のぶつかり合いでしたよ。当時は、優勝する意味というのがすごく重かった。しかし現在は「何とかAクラスに!」という変な余裕がチームにある。この考えは、危機感や緊張感を削いでしまう可能性があると思いますね。私がDeNAの監督をしていたときも「3位以内に入れば」というCSを逃げ道にした意識が私の中になかったわけではなかったな。当時は首位に立ったこともあったけど、どこか「このチーム力で、なんでここまで勝てるの? 優勝?」と選手たちを信用し切れなかった悪い指揮官でしたよ(笑)。
まあ私のことはさておき、CSが中止となれば、選手たちはあらためて「優勝しかないんだ」という高い目的意識ができるいい機会になると思いますね。その意識が選手のプレーの中に見られるシーズンになると思いますよ!
6月19日時点で本当なら約70試合を消化しているとか。シーズンの約半分が終わった時期からのスタート。でも、新型コロナウイルス感染が広がり、自粛が続いた中で、野球がやれるという状況がそこにある。まずはこのことに「大きな喜び」を感じて野球をやってほしいですね。
その喜びをかみ締め、120試合を戦い、消化試合や負け試合を作るような雰囲気は、絶対やってはいけない!
1戦、1戦、必死にプレーし、屁理屈は言わない、手を抜かず、すべての試合で勝っても負けても全選手が全力でやってほしいと思います。
さらに開幕ダッシュが優勝の大条件、という解説者もいるかもしれません。でも、私も野球解説者ですが「そんなの・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン