週ベ編集部が選ぶMIP4人の1人はベイスターズの7年目の右腕、平良拳太郎だ。開幕から先発ローテーション入りし、8試合連続でQS(6回3自責点以内)と安定感を見せた。記録は9試合目で途絶えたが、沖縄出身の25歳が首位・巨人を追う急先鋒に立つ 取材・構成=滝川和臣 写真=毛受亮介、井田新輔、BBM ※8月12日、インタビュー収録 
エース今永や大貫と並んでベイスターズの先発ローテの軸となる/写真=毛受亮介
打者の反応を見ながらテンポを意識した投球
先発右腕として期待は大きかったが、今シーズンこれまでのフォーマンスは“大化け”と表現してもいいだろう。球速アップは自他ともに認めるところだが、変化球もレベルアップ。スライダーとカット、シンカーとツーシームを両サイドに投げ分け、打者は戸惑いの色を隠せない。特に昨年までとは落ち方が違うシンカーがポイントとなっている印象を受けるが、本人はそれを否定。変化球そのものに変わりはないと言う。 ──今季は8試合に投げて防御率1.72(リーグ1位)、QS率は100%。この成績を自身でどう分析しますか。
平良 出来過ぎかなと、と思います。投球内容としては、ボールをしっかりと低めに集めることができ、ゴロでアウトが取れていることが結果として表れていると思います。
──昨年までと何が変わりましたか。
平良 一番変わったのは、要所で右打者、左打者に対してうまくインコースを使った投球できている点ですかね。変化球ではスライダーの割合が多くなっていて、打者のタイミングをずらすことができていると思います。シンカーを含めて、握りやボールの軌道は昨年と変わりませんが、変化球の“使いどころ”は意識するようになりました。
──“使いどころ”とは?
平良 状況に応じて意識的に抜いたり、曲げたり、打者の反応を見ながら投げられるようになったことが大きいです。その結果、打者に的を絞らせない投球につながっているようにも感じています。その中で、先ほどお話ししたインコースが効果的に使えている。打者が強く踏み込んでいるな、と感じたら右打者ならシンカーであったり、速い真っすぐで打者の目線を変えられているかなと。同じ変化球でも腕の位置を変えるなど、工夫しながら投げることができています。
──バッテリーを組む
戸柱恭孝捕手とのコンビネーションもうまくいっているようですね。
平良 そうですね。僕はカードの3戦目にあたる日曜に登板することが多いのですが、戸柱さんが1、2戦目の打者の印象を話してくれたり、コミュニケーションが取れているのが大きいです。試合前にはいつも「一人ひとり、丁寧に」と声掛けしてもらっています。
──持ち前の制球力に加えて、投球テンポもいいですね。
平良 テンポはすごく意識しますね。イニング間の投球練習でも少しテンポアップさせたりして投げています。試合中もあまり動きのない展開であれば、なるべく早いリズムで。逆に、味方の攻撃で点が入った直後のイニングなどは気を引き締める意味でも、しっかりと自分の考えを整理してひと呼吸入れてから投球に入るようにしています。試合の合間でも一つアウトを取った後に、ここはポンポンと行くのか、間を開けたほうがいいのか、リズムやテンポを考えながらマウンドに上がっています。
──昨年よりも長いイニングを投げることができている要因は。
平良 繰り返しになってしまいますが、やはりインコースをうまく使えている部分ですね。フィジカル面で言えば・・・
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