奥深き変化球の世界を、さらに巡っていこう。ここからは2人のプロフェッショナルが登場。まずは橋上秀樹氏の証言からだ。かつてNPB4球団の“名参謀”として一流投手攻略に心血を注いだ男が、コーチ目線で変化球を語る。 取材・構成=岡田浩人 写真=岡田浩人、BBM 
ソフトバンク・千賀のフォークに対抗するには、割り切りが必要だった
「お化け」退治には「地蔵」を用意
一昨年まで
西武で3年間(2016~18年)、一軍作戦コーチなどを務めていたときのことです。当時、対戦相手の中で最も厄介な“魔球”を投げる投手が、ソフトバンクの
千賀滉大投手でした。いわゆる「お化けフォーク」です。ストライクゾーンだと思って振ってみるとワンバウンドになる……とにかく落差がすごい。打席で見極めができるような球種ではありませんでした。
そこで立てた作戦が「地蔵作戦」。千賀投手のフォークに対しては「追い込まれたらベルト付近の高さのボールには一切、手を出すな。お地蔵様でいろ」という指示を出しました。たとえストレートを投げられて見逃し三振になってもいい、という割り切りが必要でした。千賀投手ほどの“スーパーエース”を攻略するには「肉を切らせて骨を断つ」という覚悟が必要になります。
18年シーズン、千賀投手の成績は13勝7敗でしたが、7敗のうち3つは西武戦でした。
変化球攻略の一つの成功体験が・・・
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