
シリーズでは機能しなかった吉川尚[上]と松原[下]の一、二番コンビだが、経験を積めば楽しみな存在だ
1戦目のダメージを取り返せなかった
ソフトバンク有利とは予想していたが、2年連続の0勝4敗はOBとして寂しいね。僕は打線のカギは、一番の
吉川尚輝と二番の
松原聖弥だと思っていた。ソフトバンクの投手相手に
巨人打線が苦戦することは予想できたから、それをこの2人が足や小技を絡めながら、いかに塁に出てチャンスをつくるか、勢いをつけるかだと思っていた。この一、二番が求められているのは、そういう役割だからね。それであわよくばだが、どちらかがラッキーボーイ的存在になれば、巨人も勢いに乗った戦いができると思っていた。
でも、結果的には1戦目から2人とも
千賀滉大に抑え込まれて沈黙してしまった。シーズン中は長いから失敗しても取り返せるけど、短期決戦は、なかなかそうはいかない。特に2人はまだ若いし、一、二番を組んだ経験もたくさんあるわけじゃないから、ずっと沈んだままになってしまった。若い彼らにそこまで要求するのは酷かもしれないけど、クリーンアップは厳しく攻められるし、劣勢では長打を狙い、大振りしなきゃいけない場面もある。2人が塁に出ないと、勢いがつかない戦いではあったと思う。
結果的には1戦目をやられたことが本当に痛かった。選手の表情に落胆の色があったからね。前年から負け続けていることもあって、「今年もまたか」と思ったこともあっただろうし、あとはエースの
菅野智之で負けたというのが大きかった。今の巨人の先発は、菅野とほかの投手の力の差があり過ぎるからね。日本シリーズ前、定岡(
定岡正二)さんと川口(
川口和久)が(連載
「昭和ドロップ!」)、菅野を2戦目に回したら、という話をした。確かに1つの手としては、ソフトバンク側に情報があまりないA・
サンチェスというのもあったと思う。ただ、これは逆も真なりで、菅野で、しかも千賀から勝てば、一気に楽になって巨人が走っていたはずだ。あと、やはり日本シリーズはエース対決の醍醐味もあるしね。何が正解かは分からないけど、初戦の負けで流れが決まり、それを巨人が変えられなかったのは確かだった。
ソフトバンクは・・・
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