
ヤナセとプロ契約を結んでいる阪神・近本[写真右]とオリックス・福田[写真左]。バットへの強いこだわりを2人とも持っている
木の繊維を見極める
乾いた“カーン!”という打球音が鳴り響いたとき、球場は一瞬静寂となる。そしてその音は観客の耳に強く残るはず。この音を奏でるバットと素材に全身全霊で向き合っているのがヤナセ・バット・カンパニー(ヤナセインターナショナル)社だ。
ヤナセ社のハード・メープル材は、北米産を使用。主にニューヨーク、ペンシルベニア州などから、購入しているという。五大湖東側地域は極寒な北極圏より五大湖を通過して吹きつける“Jet Stream”の影響により、ゆっくりと育つため強じんで強度のある良質な木材が育つ地域である。さらに木材購入時はMLB&USDF共同研究に基づくバット材として最適な木材を選んでいるという。
木全体を見たとき、人の目には真っすぐ生えているように見えるはず。しかし、ほとんどの木は成長の過程でねじれて育つことが多い。バットを作る木材を購入する際には、縦に入った筋がどういうねじれになっているか、木の繊維がどういうふうになっているのかを調べる必要がある。先述の研究機関によりこの木の繊維のことを“Slope ofgrain”(木筋)と名付けられた。(以下「SoG」)。このSoGに基づいて、丸棒の状態のときに検査をし、基準に合った木を常に購入している。
このSoGは、現在MLBでも採用されている。メジャーの打者が持っているバットをよく見てもらいたい。メープルにはグリップより少し上辺りに黒点が着けられている。板目面にインクを着けているのだが、これで繊維角度を計測できるのだ。この角度が3度以内であれば、MLBの公式戦で使用が認められている(日本では採用されていない)。
ヤナセ社もメープルに関し、この基準をクリアした木材、つまり強度がしっかりあり、折れにくいバットを選手たちに提供している。当然・・・
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