守備を極めた職人は一体どんなグラブで、どんな感覚でプレーするのか。それを体感できる内野手用グラブを宮本慎也氏とミズノが共同で開発。宮本氏の長年の経験から導き出されたノウハウが注ぎ込まれている。 取材・文=滝川和臣 写真=BBM、ミズノ 
宮本慎也
ターゲットは高校生究極の内野手グラブ製作へ
1990年代、2000年代を代表する守備の名手として異論を唱える者はいないだろう。宮本慎也氏は堅実なプレーで
ヤクルトを支え、19年間のプロ野球生活を通して10度のゴールデン・グラブ賞(遊撃手6回、三塁手4回)を受賞した。達人は道具への造詣も深く、特に自身が使うグラブについては妥協を許さなかった。現役時代、グラブを担当したミズノの岸本耕作氏(グラブマイスター)は、宮本氏とのやり取りを振り返る。「人一倍こだわりを持った方でした。とくに親指、小指をしっかりした感じで作るように言われていました。包み込むようにボールを捕球することをイメージされ、革は硬い状態からご自身で型をつけていくのを好まれました」。メジャー時代の
イチローをはじめ、現在では
巨人・
坂本勇人らトッププレーヤーのグラブを担当する岸本氏は、親指、小指が打球に負けないようにグラブの中に入れるフェルトの芯を硬いもので組み合わせ、宮本氏のリクエストに応えていた。
そうしたミズノと宮本氏の関係から興味深いプロジェクトが立ち上がった。『もしもゴールデン・グラブ受賞10回の守備名人がグラブをつくったら……』をテーマに、市販の硬式内野手用グラブを共同開発したのだった。高校球児をメーンターゲットにしたというグラブの開発にあたって、宮本氏は実際にグラブを使いながら、名手ならでは視点からのアイデアを提供。その開発ポイントからグラブ作りにおける“こだわりの世界”が見えてくる。
【POINT 1】土手の改良で幅広く捕れる

土手の紐の位置を下げ、捕球面を大き目に確保
捕球面は広く使う プロ入り1年目から二遊間を守り、3年目以降は遊撃のレギュラーに定着。その後は、三塁もこなした内野守備のスペシャリストである宮本氏は、「ゴロを捕球の際、ボールが入ってきやすいように間口を広くしたい。捕球面もできるだけ広くしたい」と理想のグラブを語る。開発を担当したミズノのグローバルイクイップメントプロダクト部グラブ企画担当の茂木結矢さんは「宮本さんの中では、グラブはいろんな打球に対応するために、きちんと開いておくもの。ボールが入ってくるためのスペースがあることが前提」と言う。開発したグラブは、土手の紐の位置を変えて、受球面をより広く使えるように工夫されている。具体的には・・・
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