2021年シーズンも佳境に入ったが、セ・パ両リーグともに抜け出しそうなチームは見当たらない。ペナントをつかむためには何が必要になるのか。高木豊氏と里崎智也氏の2人に、優勝争いを読み解くためのキーポイントを聞いた。 
セで好調ぶりを発揮するヤクルト。この流れを最後まで持続できるか
三つ巴のセ・リーグ際立つヤクルトの勢い
まずはヤクルト、阪神、巨人が三つ巴のセ・リーグから見ていく。現在はヤクルト、阪神がゲーム差なしで並び、巨人は少し離される形で4ゲーム差の3位。首位を争う3チームの状況を比較してみた。 高木 今のところ投打のバランスがいいのがヤクルトだね。チーム全体も乗っているというか。このままの勢いなら優勝はヤクルトだよ。ただ、日程的にまだ30試合近くあるし、疲れは来るはず。この状態を最後まで維持して戦うというのは考えにくい。落ちたときに、どれだけのヘコみにするか。5連敗しそうなところを、何とか3連敗で踏みとどまるとか……。そこが大事になってくるんじゃないかな。
里崎 開幕前、課題を克服できれば上位も望めると感じていたのがヤクルトです。打線が活発なのは分かっていましたけど、先発陣に不安がありました。それが今季は、
奥川恭伸(7勝3敗)、
高橋奎二(3勝1敗)と若手が台頭して、助っ人でも
アルバート・スアレス(5勝3敗)、
サイスニード(4勝2敗)も機能しています。
小川泰弘、
石川雅規というキャリアが豊富な先発2本柱に続く存在が次々と出てきたことで、マイナス面が見事に解消されましたよね。
高木 バッティングの状態は波があるし、相手の先発ローテとの兼ね合いもある。ただ、ヤクルトが安定して戦えているのは、下位のチームに対して取りこぼしがないということ(対
中日12勝4敗5分、対
広島11勝5敗3分、対
DeNA14勝4敗2分)。ただ、阪神に対しては5、巨人に対しては4の負け越しがあり、今後、この2チームに対してどう戦っていくかがカギになると思うね。
里崎 そのヤクルトとゲーム差なしで並んでいる阪神は、良くも悪くも打線次第、というところが大きいですよね。
ジェフリー・マルテ、
サンズの助っ人コンビが中軸を固め、その後ろにルーキーの
佐藤輝明が座り、序盤戦で本塁打を量産しました。

猛虎打線で中軸を担うべきなのが大山。首脳陣は打線の中心に据えたいところだが……
高木 阪神はシーズン序盤からずっと首位で走ってきて、途中で巨人、そしてここに来てヤクルトに追いつかれるという状況。打線では
近本光司からマルテというところまではいいんだけど、四番に定着すべき
大山悠輔が不安だったり、サンズもなかなか安定しない。ここに来てようやく打線を開幕当初に近い形に戻したけど、今後はやってきたことに対して肝を据えられるかどうか。佐藤輝を外したり、打線を組み替えたりしたのは一時しのぎでしかなかった。
里崎 現在は近本と新人・
中野拓夢の一、二番コンビが安定していますから。このあとは、中軸がどう連動するかで得点力が大きく変わってきそうですね。
高木 阪神は投手陣がある程度、安定している。大量得点がなくても、大量失点もあまりない。接戦に持ち込めば、代走も強力だし、試合終盤を有利に戦うことができるからね。
痛い巨人の連敗 引き分け数も重要
気になるのは昨年の王者・巨人の失速だ。投打両面で波があることから、9月に入ってまさかの6連敗。これ以上、上位に離されると連覇は厳しい状況となる。また、3チームが競ってくればそれだけ、引き分けの意味も大きくなりそうだ。 里崎 その2チームを追い掛ける巨人ですが、打てば勝てるというところがあっても、なかなか安定する戦いはできていません。38本塁打、106打点の
岡本和真に依存する部分が大きい。その一方で・・・
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