新型コロナ対策の入場制限が緩和されスタジアムに熱気が戻ってきた。スポーツ観戦の醍醐味は、ライブ体験に尽きる。エースが気合いを吐き出しながら、ミットに投げ込む剛速球。四番打者がたたいた乾いた打球音。スタンドからの手拍子や拍手。どれも球場を訪れないと味わうことのできない、貴重な体験だ。過去2年、コロナ禍であっても12球団の本拠地は、新たなファンを迎えるために進化してきた。今号は「球場特集」として、スタジアムの魅力をお届けする。さあ、野球場に足を運ぼう! 勝利が決まった直後から、今季の甲子園は何かが違う。カクテル光線が暗くなったり明るくなったりと変化に富んでカラフルに勝利を祝う形になっている。
2022年2月にパナソニック製のLED照明器具756台を導入した。これでスタジアム照明によるCO2排出量を約60パーセント抑制できると見込まれているというが、それ以上にこのLEDはオレンジと白の発光が可能に。これは国内球場初の「LEDカクテル光線」という。

セピア色の写真に、カメラマンが撮影を失敗したかと思われた人もいるだろう。しかしこれは勝利が決まった瞬間から照明がカクテル光線に切り替えられるため。オレンジと白の光線が交互にグラウンドに注ぎ込む
この照明が設置されたことで、試合後の華やかなシーンをより鮮やかに演出できるようになった。このように日本最古の伝統ある球場が、さまざまな取り組みにより、最新の技術を駆使したスタジアムへと変化していく。それは過去の歴史を見ても同様で、1976年からは数年かけて座席の更新を行い、91年のオフにはラッキーゾーンを撤去している。
2007年からは3期に分けて大改修が行われ、第1期は内野スタンド。第2期はアルプスと外野スタンド、照明塔、銀傘の改修。第3期は球場の外野スタンド下に甲子園歴史館が完成し、三塁側外に売店基地棟ができるなど球場外周が整備された。
そして今回、甲子園歴史館がリニューアルされた。場所は球場南側に別館「甲子園プラス」がオープンしたが、ここの2、3階に移転した。この「甲子園プラス」は1階に商業施設、3階にキッズゾーンが設けられている。
このように甲子園は毎年少しずつリニューアルを重ねている。フィールド内では外野フェンス沿いの土だった場所が人工芝に変更された。
それでも古き良き甲子園の伝統は残されている。その歴史は1924年(大正13年)から。十干、十二支のそれぞれ最初の「甲(きのえ)」と「子(ね)」が60年ぶりに出合う幸運な年で、縁起の良い名前を合わせ、付近一帯を「甲子園」と命名し、野球場を「甲子園大運動場」と名付け8月1日に開場した。
球場のモデルはニューヨーク・ジャイアンツの当時の本拠地だったポロ・グラウンズ。甲子園の地鎮祭が3月11日、起工が3月16日、大林組が工事を手掛け、竣工が7月31日。約4カ月間を要して完成。四階建ての鉄筋コンクリート構造で、当時は・・・
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