リーグNO.1の投手陣を軸に上位に食らいついている辻ライオンズ。しかし、3年ぶりの優勝を狙うためには、そろそろチームの勢いを加速させなければならない。そのためのカギは何か。今季ここまでの戦いぶりを振り返りつつ、上位進出へのポイントを探る。 文=山口史朗(朝日新聞) 写真=桜井ひとし、山口高明 ※成績は6月9日現在 
四番の山川は14試合の欠場がありながら本塁打でリーグトップを走る。5月の月間MVPも獲得した
山川が好スタートも……
我慢の連続――。6月上旬までの
西武の戦いぶりは、そんな言葉で表現できるだろう。
軌道に乗りかけては失速し、明るい兆しが見えたかと思えば、乗り切れない。中盤戦以降の反撃へ。一進一退を繰り返しながらも、42年ぶりの最下位に沈んだ昨季に比べれば、前向きな材料は多い。
スタートから振り返ろう。
開幕戦こそ、
オリックスのエース・
山本由伸に8回無得点と抑えられて敗れたが、翌日は昨季6戦全敗とやられた左腕の
宮城大弥から四番・
山川穂高が1回に3ラン。5対0で快勝した。
翌日の同カードも山川が本塁打を含む3安打2打点と打ちまくり、0対6から7対6と逆転に成功。昨季のパ・リーグ王者を相手に2勝1敗で勝ち越し、好スタートを切った。
何より先が明るくなったのは、山川の打棒だ。一昨年に痛めた右足首の影響で、過去2シーズンはいずれも24本塁打に終わった30歳は、今季に野球人生をかけて臨んでいる。
自主トレから「お尻を決めて軸足を安定させる」というテーマに取り組んできた。本人の言葉を借りると、3季ぶりに「お尻が決まる」という感覚が戻ったという。軸となる右足でしっかりと立ち、ぐらつくことなくタイミングを取ることができる。
春季キャンプ、オープン戦と打撃の形をまったく変えることなく過ごせたのは、これが初めてというほど、迷いがなくなった。
そうして迎えた開幕シリーズで結果が出たことは、本人にとってはもちろん、チームにとっても明るい材料となった。
しかし、すぐに状況は暗転した。
4連勝を決めた開幕5戦目の
日本ハム戦(3月30日、札幌ドーム)で、その山川が走塁中に右太もも裏を肉離れして途中交代となってしまったのだ。
投手陣が見せた奮起
札幌ドームは昨年も春先に左太もも裏を負傷した「鬼門」とも言える地。「軽度の肉離れ」という診断ではあったが、結果的に2週間あまり、チームを離れることになった。
主砲を欠いたチームは・・・
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