カーブ、スライダーはひねったり、抜いたりすれば変化するが、フォークは挟んで投げるとどこに行くか分からずほとんど「落ちない」という選手も多いはず。それを確実に「落ちる」ボールへ、そして最後は「落とす」ボールにするには……。今回、日米で通算170勝を挙げた野球解説者の岩隈久志氏がフォークボールを落とすためのコツをレクチャーしてくれた。 取材・構成=椎屋博幸 写真=BBM、Getty Images 
現役時代は何種類もの変化球を投げすべてが一流だった岩隈氏。その中でもフォークは投球の中で大きな威力を発揮した球種の一つだった
落としたいと思い過ぎない
私が、中学生のころは野茂(
野茂英雄)さんが全盛のときでした。野茂さんと言えばフォーク。当然のようにマネをしていました。当時はそこまで知識がないですから「フォークは無回転で投げるんだよね」と言いながら思い切り指を広げ投げていました。でも実際の投げるという原理の中では、無回転というのは無理なんです。だから当時、友達と競って投げたフォークボールは、全員が落ちませんでしたけどね(笑)。
この球種を投げるとき、ほとんどのプロの投手は「真っすぐと同じように」と言いますよね。それはそのとおりだと思います。しかし、そうは言っても投げられない人もいるはずです。では、なぜそう言ってしまうのかを教えます。
フォーシームを投げるときにはボールにスピンをかけるため指先で縫い目を切るようにリリースします。これにより回転数が多くなりますが、フォークは挟んだり、指を広げるだけで、スピン量が少なくなり回転数が落ちることになります。そのために実際に真っすぐと同じように投げるだけで確実に落ちます。
それでも落ちない場合というのは「落とそう」という意識が強過ぎるんだと思います。現役で言えば
佐々木朗希投手やエンゼルスの
大谷翔平投手などの落ち幅を見て、ああいうふうに落としたいと強く思うのは当然のことで、同じような握りをして思い切り指などに力を入れて投げてしまう。だから落ちないんです。
なぜなら落としたいという意識が強過ぎると、ヒジが通常のリリース位置より、早く下がり過ぎてしまうからなのです。そうなると・・・
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