今季、チームで唯一全143試合に出場した。2年連続で規定打席に到達して打率も残した。ただ、消えることのなかった捕手へのこだわり。真っすぐな思いを、指揮官も汲んでくれた。自分で決めた道-必ず、やってみせる。 文=前原淳 
捕手一本が決まり、秋季キャンプではいつにも増して練習に力が入った
高い打力ゆえに
日南の強い日差しに照らされ、赤いプロテクターが輝いて見えた。11月8日から宮崎・日南で始まった秋季キャンプ、
坂倉将吾は“捕手漬け”の日々を送った。
全体練習では積極的にブルペンに向かい、投手の球を受けた。日南入りする前から、投手のシーズン中の投球を映像で確認。「(投手から)聞かれれば、答えられるように。自分からも意見できるように」と予習も済ませていた。連日のように早出特守に指名され、全体練習後の強化練習でも捕手練習に充てられた。由布院リハビリキャンプ参加のため、15日に一足早くキャンプを打ち上げたものの、3年ぶりの捕手専念となる来季へ向けて、実りある秋となった。
「何とかきっかけというか、来年につながるものは見いだせたかなと思います。取り入れる部分もありますし、間違った考え方をしていた部分もあったので、新しいものを入れて、どんどんいい方向に向かうようにと思ってやっていきたい」
複数ポジションに挑み、2年連続で規定打席に到達した。得点力不足にあえいだチーム事情から2021年は一塁と併用され、首位打者となった
鈴木誠也(現カブス)に次ぐリーグ2位の打率.315を残した。高い打力を示したことで、同年オフには層が薄い三塁へコンバート。慣れないポジションでも、チームでただ1人全試合出場を果たした。打線の中軸を担い、リーグ9位の打率.288。安打数、本塁打数でキャリアハイを更新した。
「打者・坂倉」が順調に成長していく中で、今季の捕手出場は途中出場を含め22試合にとどまった。入団4年目の20年に、
會澤翼に次ぐ47試合に先発マスクをかぶって二番手捕手の座をつかみかけたが、高い打力が正捕手への道を遠回りに。「捕手・坂倉」の時計は止まったままだった・・・
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