果たして若手先発は何がきっかけで、どのような瞬間に覚醒するのか。野球解説者の荒木大輔氏に現役時代、コーチ時代の経験談を語ってもらった。 取材・構成=小林光男 写真=BBM 
3年目の1985年、6勝を挙げるなど飛躍のきっかけをつかんだ荒木氏
「内角に投げなければ生き残れない」
現役時代、私にとって転機となったのは3年目のことですね。1年目は4試合に先発して1勝、2年目は7試合に先発して一つも勝てずに5敗に終わり、危機感を覚え始めたころでした。3年目は開幕二軍スタートになったんですが、
根来広光二軍バッテリーコーチから「インサイドをもっと使いなさい。そうしなければプロで生き残れない」とアドバイスされたんです。それまでの私の投球スタイルはアウトサイド中心。そこへ動くボールを投げて勝負していましたが、インサイドはまったく使っていませんでした。もしかしたら、それまでに同様のアドバイスをしてくれていたかもしれませんが、耳に入ってこなかったですね。今思えば指導者にとって相手が聞き入れる状況になるまで、言い続けることが重要なのかもしれません。
とにかく、「何とか殻を破らなければ」と、もがいていた私はすぐに試合で実践してみました。インサイドに思い切り投じてみると、相手のバットを2、3本折ったのです。前よりも簡単に打ち取ることができ、目からうろこが落ちたような感じでした。もともと私はストレートもシュート回転する球筋。根来さんは捕手目線で、それを生かさない手はないと思ったのでしょう。私は手ごたえをしっかりとつかみました。
7月1日に一軍登録されるまで、ファームで投げまくりましたね。確か、地方球場の
西武戦で12対10くらいのスコアで完投勝ちも収めています。今では考えられないことですが・・・
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