見事に連覇を果たした2009年の第2回WBC。出場チーム中、防御率NO.1の投手陣を束ねたのが山田久志氏だ。一流投手たちを適材適所で起用するために思い悩み、眠れない日々も続いた。週刊ベースボール2009年4月27日号に掲載された連載インタビューを、再録としてお届けする。 写真=BBM 
勝負どころを前に抑えを外された藤川。勝利に徹する山田氏の重い決断だった
意を決して伝えた「リリーフもあるぞ」
準決勝を前に、山田久志氏が頭を悩ませていたのは、抑えを誰にするかだった。白羽の矢が立ったのがダルビッシュ有だ。結果的にはこの決断が吉と出たわけだが、その一方で気を揉んだのが、その役割を解いた藤川球児のことだった。 プロの世界に入って、いまだかつて経験したことのない重圧のかかった1カ月半やった。もうああいう経験はしたくないわ(笑)。
まず投手陣を13人に絞り込む作業が苦しかった。和田(
和田毅)と岸(
岸孝之)が落選。岸は調子が上がらず、本人もこのメンバーじゃ無理かなと思っていただろう。でも、和田の場合は違う。最後の練習試合でも、いいピッチングをしていたでしょ。にもかかわらず、なぜ(落選は)内海(
内海哲也)じゃなくて和田なのかと。読売の意向かと見られるのもある面しょうがない(苦笑)。でも、僕の考えはそうじゃないんです。山口(
山口鉄也)がいたでしょ。リリーフ専門職として彼は絶対に必要な存在なんですよ。岩瀬(
岩瀬仁紀)が来てくれたら別だけど辞退しているわけだから(苦笑)、その山口を生かさないといかん。宮崎でずっと見ていたら山口は15人の輪に全然入ってこられない。周りは今まで自分があこがれた、そうそうたるメンバーだからね。去年(2008年)ポッと出た自分が、その輪の中に入っていいのかという感じで練習していた。で、キャッチボールにしても何にしても、いつも内海と一緒に。この状態で内海を外して山口を一人ぼっちにしたときに仕事にならん。最後まで悩んだけど、結局監督に「こうしましょう」と結論を伝えたんです。
(藤川)球児を抑えから外すときは、悩んだねえ。というのも・・・
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