1次ラウンドから負けなしで一気にWBCの頂点まで駆け上がった侍ジャパン。果たして、その強さの要因はどのような点にあったのだろうか。2013年の第3回大会で侍ジャパンの野手総合コーチを務めた梨田昌孝氏に解説してもらった。 写真=Getty Images 
あらゆる面で栗山監督の手腕が発揮された
WBCで日本代表が14年ぶり3度目の頂点に立った。アメリカとの決勝は1点リードの9回に
大谷翔平(エンゼルス)が抑え投手として登板し、同僚のマイク・トラウトから空振り三振を奪って優勝を決めた。野球発祥の地でメジャー・リーグ(MLB)を代表する強打者を力で上回った、この劇的な結末に至るまで、従来の日本野球からの進歩を感じた。長所である規律、チームワーク、勤勉さが背景にある「スモール・ベースボール」の素地は残しつつも、投打でパワーを増していたからだ。いわば「ハイブリッド・ベースボール」で、日本野球の新たな形と可能性を示した勝利だった。
世界屈指の力を証明した先発投手
ポジションごとに見ると、投手、特に先発はあらためて世界屈指の力を証明した。決勝では「抑え大谷」がクローズアップされてしまうものの、
大勢(
巨人)以外、最初にマウンドに立った
今永昇太(
DeNA)、
戸郷翔征(巨人)、
伊藤大海(
日本ハム)ら7投手のうち6投手が所属チームでは先発だ。試合途中からの登板を苦にすることもなかった。
トラウト、ポール・ゴールドシュミット(カージナルス)らを擁するアメリカの強力打線ですら初見では対応し切れていなかった。彼らとの2巡目の対戦を避け、小刻みにつなぐ戦略を採ったベンチに応えた投球は見事だった。
代表最年少20歳の
高橋宏斗(
中日)が150キロ台後半の速球とスプリットを武器に、力でねじ伏せたことに象徴されるように、速球と落ちる球を持つパワーピッチャーが多かった。そして球が強い上・・・
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