4年ぶりに開催された侍ジャパンU-18代表候補の強化合宿。3日間で最もアピールしたのは、投打で存在感を見せた万能選手だった。甲子園出場実績はないが、スカウト戦線でも一躍、注目の的となっている。 取材・文=沢井史 写真=田中慎一郎 
好きな言葉は「信」。帽子のツバに書き込んでいる
4月4日から3日間行われた、U-18日本代表候補強化合宿。馬淵史郎監督(明徳義塾高監督)は練習後の取材のたびに、気になった選手として
武田陸玖の名前を上げていた。
174cmと小柄だが、抜群のポテンシャルを兼ね備える。左打席からは、シャープなスイングを披露。常日ごろから使用する金属バットではなく、木製バットでも力負けせず、鋭い打球を放っていた。投げては最速147キロのストレートを軸に、キレ味抜群のスライダー、チェンジアップを操り、ここ一番では三振も奪えるサウスポーだ。5日に行われた紅白戦2試合では、1試合目に先発。この日の最速は144キロも、鋭く曲がるスライダーなど変幻自在の投球で、2回3安打無失点と、今春のセンバツ甲子園出場組ら、全国屈指の打者を相手に圧倒した。走者を許してからも2度のけん制で刺すなど、周辺部分のセンスの良さも見せた。
「緊張はしたんですけれど、自分を出せたと思います。レベルの高い人たちと対戦させていただいて、ストレートが甘く入ってしまったところなど課題は見つかりましたし、そんなに、通用したなと思うところはなかったです」と武田の自己評価は厳しかった。降板後は右翼の守備に就き、打席に立つなど、攻守にフル回転。紅白戦前には、普段はあまりやらないという外野ノックを受けていたが、軽快な動きは目を引いた。
「自分の良さは出せたと思います。ストライクを思い切り振り、センターフライなどアウトになった打席もアウトの質は良かったです。ただ、張っていなかった球が来たときにどう対処するか、対応力が今の課題です」
今回の合宿には大阪桐蔭高・
前田悠伍、享栄高・
東松快征といった世代を代表するサウスポーも集結。武田の目は、甲子園に3回出場し、昨春のセンバツ優勝を経験している前田の動きを自然に追っていたという。
「特に何かを話したというわけではないんですけれど『さすがだな』というところは、たくさんありました。コントロールもいいし、変化球の精度もすごいなと思いました」
甲子園など大きな舞台を踏んだ選手が参加していた中・・・
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