テクノロジーの進化によって目に見えなかった動きが可視化され、数値化されている。「スタットキャスト」や「ドライブライン」のような施設が、打撃では「フライボール革命」を起こし、投手のさらなる進化をうながして“スイーパー”のような新たな球種を生み出している。 文=奥田秀樹 写真=Getty Images ※情報・データは現地時間6月20日現在 
スタットキャストは2015年にすべてのMLBの本拠地球場に導入されいてる
急増するスイーパー
今季からMLBのスタットキャストのデータで、ブレーキングボールのカテゴリーにスイーパーが加わった。球場のスコアボードでも、テレビ中継の画面でも「SWEEPER」と表示されている。昨年まではスライダーに含まれていたが、握り方も曲がり方も使い方も違うから、分けるべきとなった。
ボールの動きを比較すると、スライダーはメジャー平均で球速85マイル、15センチほど曲がる。打者からするとリリース時は直球のように見えるが、手前で曲がり落ちて振ったバットの下をくぐる。一方、スイーパーは平均82マイルくらいで、約38センチと水平に大きく曲がる。ボールはバットの上を通り、空振りやポップフライになる。
スイーパーの使い手は2021年から急増。とりわけエンゼルスの
大谷翔平が多投した。データサイト「ベースボールサバント」によると、22年の大谷はメジャーの投手で最多の983球を投げ、全投球の37.4%を占め、被打率.165と相手打者を牛耳った。今季もここまで最多の522球で39.2%、被打率.163である。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で最後にチームでは同僚のマイク・トラウトを空振り三振に仕留めたシーンは記憶に新しい。
大谷の成功もあってスイーパーは今、メジャーで最もトレンディな球種となっている。例えば・・・
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