ここからは、どの球団よりも結束力の強かったリリーフ陣を紹介する。彼らも、なかなか走者を背負うことのない投球を1年間見せ続けた。 写真=BBM ※選手の年齢は満年齢。成績は9月17日現在 岩崎優 若手に経験を伝え続けたストッパー

岩崎優●1991.6.19生[32歳]、185cm/89kg、左投/左打、静岡県出身、清水東高-国士舘大-阪神14[6]=10年目
【2023年】56試合3勝2敗12H32S、52.1回60振、防御率1.38 WHIP 0.73 栄光の瞬間へ向け、9回に思い切り腕を振り続けた。9月14日の
巨人戦(甲子園)。2点差で迎えた場面で、クローザー・岩崎優が
コールされる。頂点まであと3つのアウトが必要。その気持ちに活を入れたのが、この日選曲した、人気デュオ、ゆずの代表曲『栄光の架橋』だった。
同期入団で今年7月18日に脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなった
横田慎太郎さんの登場曲だ。岩崎の名前がコールされたあと曲が流れ始める。どこからとなく、甲子園全体で大合唱が始まった。甲子園のファンがつくり出した雰囲気に乗せられ、横田さんの魂とファンの魂がボールに宿る。
坂本勇人に本塁打を打たれたものの、まったく気にしない。「過去のことは振り返らないんです」。失敗したものは帰ってこない。それよりも次のことを考えていく。その姿勢をずっと貫いてきた。最後の打者をセカンドフライに打ち取り、18年ぶりの頂点に登り詰めた。そのときのマウンドには、クローザー・岩崎が立っていた。
今季はコンディショニングに重点を置きながらフィジカルを整えていった。昨年までのクローザーとしての経験が生きている。「あまり最後だからと気にはしていません」と、9回の仕上げだという気持ちではなく、ただ1イニングを抑えるだけ。試合中はブルペンで待機する中で、
岩貞祐太などと、若手に試合を見ながら試合の流れを読んで解いたりした。それが若手の中継ぎ陣には大きな勉強になり、準備をしやすくしている。「球児(
藤川球児)さんたちにそうしてもらいましたし、自分たちもそうしていこうと」。「横田のために」の気持ちとともに、中継ぎ陣をまとめあげ、ワンチームにつくり上げた真のクローザーだった。
石井大智 景色を変え、信頼される投手へ
【2023年】40試合1勝0敗18H0S、36.1回27振、防御率0.74 WHIP 1.21 勢いのある真球で打者を詰まらせるのが
石井大智の真骨頂だ。そのボールを投げられるようになった要因の一つとして、プレートの踏む位置の変更にあった。「ストライクゾーンが広く見えるというか、打者と捕手が立っている空間が若干広く見える感じです」と・・・
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