先発マウンドに上がれば、絶対に譲らない。エースとしてのポリシーは、豊富な練習量に培われた最大の武器。球数はウソをつかない。コントロールも抜群だ。 取材・文=岡本朋祐 
亜大は開幕から3カード連続で勝ち点を落とし、エースの力投は報われなかったが、今春の覇者・青学大戦では連勝。国学院大との最終カードで最下位を回避する[写真=矢野寿明]
阪神が18年ぶりにセ・リーグを制した。周囲が「アレ」に沸いている中でも、
草加勝は努めて冷静だった。創志学園高で3年間を一緒に過ごした
西純矢はプロ入団4年目、自己最多17試合に登板し、5勝をマークして優勝に貢献した。
「連絡をすれば、すぐに返信をしてくれる良いヤツです。シンプルに友達思いで優しい。高校時代も一つ質問すれば、自分に合った形で、丁ねいに答えてくれました。そんな律儀な性格だと分かっていますから、こちらから祝福メッセージを送るのは、あえて控えました。僕は一人の大学生ですが、向こうは職業として野球をやっている。邪魔はできません」
高校3年間、大学4年間、西純の背中を追いかける立場だった草加は、同じ舞台に立つチャンスをつかもうとしている。努力はウソをつかない。地道に取り組んできた、まさしく練習の虫である。
勝の名前の由来は「何事にも勝てるように」。厳しい勝負の世界で生きている草加は「好きですね」と、正直な思いを話す。父・博さんは東岡山工高出身の右投手で、社会人では軟式野球でプレーした。3歳上の兄・稔さんの影響で、野球を始めた。幼少時に両親が離婚し、母・明美さんの下で生活したが「父からはボールの握り方から投げ方、キャッチボールと、基本のすべてを教わりました。感謝しています」と語る。母への熱き感情も当然、心に秘めている。
「姉を含めて、きょうだい3人を女手一つで育ててもらった。恩返しをするために野球をやっているのは一番にあります」
先に越された夢への思い
兄・稔さんは創志学園高で
高田萌生(前
楽天)と同級生で2016年春、夏の甲子園に出場している(春はニ、五番・中堅、夏は六番・中堅)。「高田さんからは高校在学中、時間があれば、助言をいただきました。ただ、マネをしても高田さんのような速球は投げられない。でも、少しでも近づきたいと」。兄と入れ替わる形で17年4月、草加も創志学園高に入学した。
そこで出会った・・・
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