東都の逸材は、一部だけではない。二部にもポテンシャルの高い大型右腕がいる。序盤から終盤まで衰えないパワーピッチング。一部校のライバルに火花を散らす。
取材・文=小川誠志


　2019年10月17日、西舘昂汰はドラフトの指名結果を伝えるスマートフォンの画面を見つめていた。佐々木朗希(ロッテ)、奥川恭伸(ヤクルト)、西純矢(阪神)ら自分と同学年の選手たちが次々と1位指名を受け、プロの世界へ進んだ。

「ちょっと悔しい思いで見ていました。甲子園の開会式で見かけた選手が結構、指名されていたので、身近に感じて。4年後は自分も選ばれたいと思いました」

　福岡・筑陽学園高時代、西舘は進藤勇也(上武大4年)とバッテリーを組み、3年春夏と連続で甲子園出場、センバツでは同校最高成績の8強進出を果たした。当時から大型右腕として注目されていたが、江口祐司監督(当時)の「プロへ行くなら、ドラフト1位で行け」という言葉に納得。4年後、ドラフト1位でのプロ入りを目指そうと、専大への進学を決めた。

　身長188cm体重92kgの恵まれた体から放つ力強い速球に、NPBスカウトは熱視線を向ける。10月8日、UDトラックス上尾スタジアムで行われた東都二部リーグ第4週、専大対拓大1回戦には、NPB7球団のスカウトが視察に訪れた。この日は力みもあって、6回に集中打を浴び6失点で降板したが、中日・正津英志スカウトはこう評価した。

「一番の魅力は強い真っすぐ。まだまだ速くなる可能性があると思います。スケールの大きさ、高いポテンシャルを感じる投手ですね。大学3年の夏ぐらいにぐんと成長して、それ以降、順調にきている。大学の先輩・黒田博樹(元広島ほか)のようになれる可能性を感じます」

　正津スカウトは西舘のピッチングに元メジャー・リーガーの姿を重ねるが、西舘本人がターゲットにしているのは・・・