豊作と言われた今年のドラフト。1位指名は再抽選を含め7人が競合。球界の未来を背負うドラフト1位選手をピックアップする。 取材・文=大平明 写真=原田健太 大きな転機となった2年冬のクイック投法
巨人と日本ハムの2球団による競合の末、抽選で巨人が交渉権を獲得した
西舘勇陽。会場に入ってからは、ほとんど表情を崩さなかったが、来季から巨人の指揮を執る阿部慎之助監督が見事にクジを引き当てた瞬間、周囲からは大きな拍手が巻き起こり、樫山和男部長、
清水達也監督と笑顔で握手を交わした。そして、テレビの放送を通じて送られた「ともに優勝を目指して頑張りましょう」という言葉にうなずいてみせ、「『チームのためにしっかりやっていきたい』と思いました」と決意を新たにしていた。
花巻東高(岩手)では甲子園に3度出場するなど、当時から大型右腕として注目されていたが、高校卒業時はプロ志望届を提出することなく中大へ進学。その中大では1年秋にリーグ戦デビュー(1年春は新型コロナ禍によりリーグ戦が開催されず)。当初は救援として登板していたものの、転機となったのは2年冬から取り組み始めたクイック投法だ。クイックにすることで体重移動やリリースの感覚が良くなっただけでなく、「ランナーが出ても普段からクイックで投げているので落ち着いて投げられています」とメリットを語る。
球速もクイックにした3年春の順位決定プレーオフで自己最速の155キロを記録。「足をしっかりと上げたほうがスピードは出ると言われていますけれど、2年時はMAX151キロだったのがクイックでも出力が出るように、冬の間に練習したことで自己最速を出すことができました」。そもそも球速については「体ができてくれば、スピードは出るようになると思います」と特に目標の数字もなく、体づくりの中で自然と上がっていくことに任せるようだ。
こうして新たなフォームを手に入れた西舘は3年春のリーグ戦で初勝利を挙げると・・・
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