豊作と言われた今年のドラフト。1位指名は再抽選を含め7人が競合。球界の未来を背負うドラフト1位選手をピックアップする。 取材・文=杉園昌之 写真=菅原淳 
ドラフト会議の本会議が終了後に指名あいさつに訪れた松井監督[左]。武内の顔を見るや、「男前!」と笑みを浮かべた
目標数値を立て徐々にレベルアップ
事前に1位指名を公表していた
西武と
ソフトバンクに加え、
ヤクルトも競合。運命の行方を見守る国学院大の
武内夏暉は、緊張した面持ちでモニターをじっと見つめていた。西武の
松井稼頭央監督が交渉権獲得のくじを引き当てた瞬間、顔をほころばせ、白い歯を見せた。
「どこになるのかなって。ずっとドキドキしていました。今はライオンズに決まり、ホッとしています。指名されるまでは緊張していました。3球団からの指名は、予想していなかったのでびっくりしました」
謙虚な言葉には実感がこもる。ドラフト前から185cmの大型左腕として注目されていたが、大学入学時は同じ九州出身の同期たちも、その名前を耳にしたことがない隠れた逸材だった。
生まれ育った福岡の八幡南高時代は、全国的に無名の存在。甲子園出場にはほど遠く、県大会の4回戦進出が最高成績である。それでも、制球力に自信を持っていた長身サウスポーは、「大卒で必ずプロになる」と自らの可能性を信じていた。
田中千晴(
巨人)、
小川龍成(
ロッテ)らを育てた鳥山泰孝監督の助言を素直に聞き入れて、地道にコツコツと努力。明確な目標を立て、学年を重ねるたびに目を見張るような変貌を遂げていく。入学時から体重は7kg増の90kg、球速は高校3年時から16キロもアップし、最速は153キロになった。
「僕は急に伸びたわけではないです。体重、筋肉量などの目標数値を立てて・・・
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