プロ野球人生のひとつの岐路とも言えるFAは自らの力で手にした確かな権利であり、自らの評価を幅広く聞く絶好の機会だ。では、決断の決め手は何なのか。選手としての評価=金額なのは否めないものの決断の理由のすべてではないのは、2023-24年のストーブリーグの動向を見ても明らか。熱き心はお金だけでは動かない。 固い決意からの幕開け
シーズンも終盤に差し掛かると、徐々にFAの話題がちらつき始める。2023年も例外ではなかったが、早期決断が目立った。シーズン終了を待たずして
オリックス・
若月健矢が9月5日に残留表明すると、11月9日には
ロッテ・
田村龍弘がFA権を行使しての“宣言残留”。「愛着のある球団」と若月が明かす決断理由は、田村にも通ずることで「生涯ロッテで頑張りたいという気持ちから、こういう形にしました」と力強く語った。
残留を“美”とするわけではない。FA権を取得したのは選手の力だからこそ、他球団の評価を聞く場を設けるために宣言しても不思議ではなく、23年オフは宣言残留した田村を含めて7人がFA権を行使した。11月16日にFA交渉が解禁されると、22日に決断を下したのが
広島から宣言してオリックス入団を決めた
西川龍馬だ。
決断の早さは、芽生えた思いの早さとも無関係ではない。FA権を取得した22年のオフは権利を行使することはなかったが、「パ・リーグでやってみたい」の思いを持ったのは1年前の22年のことだと明かす。直球主体の力投派が数多くいるリーグに“天才”と称される男は心をくすぐられた。そんなFA宣言は“広島を出る”ことを念頭に置いたものではなく“パ・リーグでの挑戦”に過ぎない。仮にパ・リーグの球団からのオファーがなければ、広島残留の可能性があり・・・
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