ペナントレースは貯金2のセ・リーグ3位だったDeNAが、ポストシーズンを駆け上がって1998年以来、26年ぶりの栄冠をつかんだ。なぜ、パの絶対王者を下すことができたのか。ターニングポイントはどこにあったのか。ベイスターズの強さを分析する。 文=氏原英明 写真=高原由佳 
「全力を出し切るだけ。選手全員が徹してくれている」[三浦監督]
第3戦の東がゲームメーク
序盤を制する者が、シリーズを制する――。
2024年のシリーズの流れを読み切ったのは
三浦大輔監督率いるDeNAだった。
ホーム開幕ながら2連敗と苦しいスタート。しかし、その2つの戦いには明確な兆しがあった。アンドレ・
ジャクソン、
大貫晋一の先発2人が2回までに先制を許す苦しい展開も、中継ぎ陣は7人が登板して失点したのは2人のみ。逆に、攻撃陣は
ソフトバンクのリリーフ陣をうまくとらえていた。
中でも、初戦の9回裏、5点をリードされた中で、ソフトバンクの絶対的なクローザーである
ロベルト・オスナから3点を奪ったのは、ことのほか大きかった。
「全力を出し切るだけですよ、選手全員がそれに徹してくれていると思います」
三浦監督のこの言葉はシリーズ中の常套句だった。一見、当たり前のことを言っているようだが、この言葉の意味は試合を追うごとに増してきた印象だ。
第1戦の5点ビハインドから最後まであきらめなかったことはその一つだった。過去の日本シリーズの試合においても大差ゲームなどワンサイドの試合はあった。しかし、短いようで長い日本シリーズでは、敗戦の中にどれだけ価値を見出せるかも大事な要素。常に力を出し切るDeNAの戦い方はシリーズにおいて先につながるものばかりだった。
最大の収獲は2戦を終えて2連敗はした中でもゲームだけを振り返ると、後半勝負になればDeNAに分があるという状況をつくり出していたことにある。あとは・・・
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