45歳の青年監督は、エネルギッシュである。さらなる常勝軍団構築へ、熱血指導で押し上げようとしている。コーチ経験がない中での就任となったが、持ち前のバイタリティーとコミュケーション能力、そして確固たる経験値が、その不安を完全に打ち消している。まずはチーム全体へ、野球に対する意識づけを浸透させる。 取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也 
初めての監督業のため、まずはチームを見ていくことを優先。分からない部分はコーチに任せている
試合に没頭するために
昨年10月15日の監督就任会見、1月31日のキャンプ前日ミーティングなどで発信してきたのは「姿勢」と「凡事徹底」。この2つが理解できれば、取り組むべき方向性が見える。チーム全体で意思統一できたとき、おのずと優勝も見えてくると確信している。一方で、勝負事に一喜一憂することは求めてはいない。まずは藤川球児監督の考える「姿勢」とは──。 「姿勢」。「姿」に「勢い」と書きます。言葉自体は抽象的で、さまざまな意味を持っています。私の中では、行儀よく座っているという意味合いではなく、その姿勢が荒々しくてもまったく構わないと思っています。自分らしく振る舞う、堂々としていることが「姿勢」が良く見えることだと思っているんです。
球場に足を運んでいただいたファンの方々は、選手たちのプレーを見ますが、選手の声って、なかなか聞こえないですよね。でも彼らのプレーする「姿」を見て、感動を覚えて球場を後にするわけです。ファンの方々は、そのプレーが次の日への活力になっていく。会社などで「○○が本塁打を打った。○○が三振を取った」などと話題にしてくれる。そのシーンの姿を思い出し、選手の「姿勢」を思い出してくれる。つまり、ファンは選手たちをリスペクトしてくれている。だからこそ選手たちには「姿勢」を見せるために、最高の準備をしようよ、という意味でこの言葉を使い、選手たちに説いているわけです。
また当然、シーズン143試合を戦う中で、0対10で負けた、1対0でサヨナラ勝ちをした、ということが出てくるかもしれません。その勝敗にとらわれることなく、自分の「姿勢」を貫け、という意味も含んでいます。選手たちは毎日練習をして試合に臨みますが、休日などでもプロとしての「姿勢」を貫いてほしい。日々の生活の中で「野球に食われるなよ」という意味でもあるんです。
つまり、プロ野球選手であることに、のまれてほしくないんです。野球選手として、努力を続ける中で日々の試合が組み込まれている、という感覚であってほしい。そういうライフスタイルであれば、試合も淡々とプレーでき、それがファン目線で「プロ野球選手はすごいなあ」ということになっていくはずですから。
そのような「姿勢」が良ければ、ファンから選手たちは、威風堂々と見えるかもしれません。また、威風堂々として見えるのは、試合で結果を出しているからかもしれません。そうなるためには、やはり「姿勢」というのが非常に大切になるんだと思います。
さらに・・・
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