すでに球団史上屈指のクローザーと言っていい。だが、今季は9回のマウンドではなく、「勝利の方程式」の一角を担うことになる。訪れた変化をさらなる進化への糧として、勝利のために腕を振ることに変わりはない。 取材・構成=杉浦多夢 写真=兼村竜介、宮原和也、桜井ひとし
※年齢は2025年の満年齢 2種類のストレート
昨季は約2カ月の故障離脱があったものの、復帰とともにチームは上昇気流に乗った。一度マウンドに上がれば、最速160キロのストレートで打者を圧倒していく。そのストレートの進化の秘密は“2種類”の投げ分けにあった。 ──春季キャンプを通じての手応えはいかがでしたか。
大勢 出力というのは十分に上がりましたね。あとは開幕に向けていかにバランスよく、バッターが打ちにくい球を投げられるか。一生懸命投げても、すぐに弾き返される世界なんで。感覚的な話なんですけど、パワーというか力をいかに一点に集中させるか。その作業に必死に取り組んでいます。
──出力という意味では昨年、ストレートの球速のアベレージが大幅に上がりました。
大勢 途中、(故障離脱により)休んでたんで。そんなに投げてないんで。
──そこで力を蓄えて。
大勢 チームには本当に迷惑を掛けたんですけど、いろいろな方の配慮のおかげで上がったと思います。
──メカニックや技術的な部分での要因はいかがでしょうか。
大勢 腕の上げ方を変えたりして、リリースまでの動きでロスがないようにということには取り組んでいました。ただ、登板するのは力の入る場面が多いので、試合でそうやって力が入るとどうしても崩れがちにはなるんですけど、その中でも何球か「感覚がいいな」と感じることが多い年ではありました。そういう感覚をもっと増やしていきたいです。
──アベレージで球速が1.8キロ上がるというのは想定以上だったのでは。
大勢 チームはずっとAクラスにいましたし、締まった試合も多かったのでアドレナリンとかもあったんじゃないかと思いますね。ただ、数字として出てくれた、上がってくれたというのは自分自身、ホッとしています。今、取り組んでいることをこれからも継続しようと思えますから。また壁にぶち当たるときはあると思うんですけど、その都度、対応して成長していけたらいいなと思っています。
──最速の160キロという数字も通過点ということですね。
大勢 球が速い時代になっているので。以前とは違って、速さというよりは質を求めていきたいです。
──その意味ではストレートにも何種類かあるように見えます。
大勢 それは投げ分けていますね。
シュート成分が多い真っすぐと、それほど多くない真っすぐ。野球ゲームの『プロスピ(プロ野球スピリッツ)』ではナチュラルシュートの1種類だけなんで、そのへんも反映してほしいですね(笑)。
──もともとツーシームのような・・・
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