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MLB開幕シリーズ展望

MLB開幕戦が日本で開催される理由 世界戦略の思惑

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メジャー・リーグが日本で初めて開幕戦を行ったのは2000年だ。以降、04、08、12年に開催し、前回は19年。マリナーズ・イチローが現役引退したシリーズである。今回は6年ぶり6度目。人気拡大へ世界進出を目指しているMLBはなぜ、日本の市場を求めてくるのか、検証した。
文=椎屋博幸

2019年はマリナーズ対アスレチックス戦が東京ドームで2試合行われた。3月21日はマリナーズ・イチローの現役最後の舞台となった[写真=BBM]


 アメリカ国内には、4大プロスポーツが存在しており、その中で、アメリカンフットボール(NFL)とバスケットボール(NBA)が圧倒的な人気を誇っている。日本の場合は、まだまだプロ野球人気が一番で、マーケットも最大だ。

 一方、メジャー・リーグ(MLB)は4大スポーツの中でも3位の人気に甘んじている。ドジャース・大谷翔平は、日本では大人気。老若男女、誰からも支持されている存在だ。もちろんアメリカ国内でも有名な存在ではあるが、東海岸の野球にあまり興味のない人々からの認知は、そこまで高くないのが現実だ。

 そういう状況でMLBは国内人気を上げるため、NFLやNBAのようにスピーディーな試合を模索し、ピッチクロックなどを採用、試合時間を短くするなどの努力をして国内人気を高めている。そこに東の名門・ヤンキースにアーロン・ジャッジ、西の名門・ドジャースに大谷翔平というスーパースターが出てきたことで、さらなる人気アップを狙っている。

 それ以前に、MLBは世界市場の拡大にも目を向け、日本開幕シリーズを25年前からスタート。1995年に野茂英雄氏が海を渡って以降、日本人選手の活躍で、MLBファンも増えていた。そこで世界的な市場拡大を狙い、開幕戦を開催。今回で6度目となるこのシリーズは、ほかの国よりもはるかに多い。その大きな理由としては、観客数だ。東京ドームは約4万3500人が入り、2試合とも完売。今回来日するカブスの本拠地、リグレー・フィールドの収容人員は約4万1000人。東京ドームのほうが収益で上回るうえに、日本企業の広告収入なども大幅に見込まれることで、MLBにとっては人気獲得とともに、興行という観点でも大きなメリットがある。

 当然、MLBは日本だけでなく、ここ数年、世界的にはマイナースポーツの野球認知向上のため、シーズン中にイギリスで公式戦を開催し、今や人気シリーズとなりベースボールの普及につながっている。加えて06年からは文字どおり、世界一を決めるWBCを3月に主催し、ビッグイベントへと発展させた。これらもすべて00年から始まった日本での開幕シリーズの大成功があったからこそなのだ。

MLB東京シリーズ byグッゲンハイム
[試合概要]
3月18日(東京ドーム)19時開始
シカゴ・カブス(一塁側)
ロサンゼルス・ドジャース(三塁側)

3月19日(東京ドーム)19時開始
シカゴ・カブス(一塁側)
ロサンゼルス・ドジャース(三塁側)

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