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楽天が安樂智大と仮契約

 

▲クリムゾンレッドのユニフォームに初めて身を包んで笑みを見せる安樂。巻き返しを誓うチームにまた1人大きな戦力が加わった



 真っさらな楽天のユニフォームに袖を通すと満面の笑みがこぼれた。大安吉日の11月23日、愛媛・松山市内のホテルで行われた入団交渉。契約金1億円、年俸1200万円(金額は推定)で合意した。

「指名されてからドキドキやワクワク感もあったけど、今はホッとしています。あらためてプロ野球選手になれたんだと実感が沸いてきました」

 喜びと同時に、プロの世界を生き抜く覚悟の思いが込み上げてきた。

 「ドラフト1位でプロに入る」。9月に急逝した済美高・上甲正典前監督との約束が、1つ現実となった。「厳しい世界で活躍できるように頑張ると報告したい」。育ててくれた恩師に向けた言葉だ。もちろんプロに入るだけが目標ではない。「ここからが勝負だと思う。楽天にいた田中将大さんは自分のあこがれ。超えたい」。偉大な先輩の名前を挙げて「超えたい」と言い切った。

 田中が駒大苫小牧高のときから刺激を受けてきた。

「(プロで)1年目から11勝したときも、すごいと思っていましたけど、高校のときから思っていました。スプリットもニュースで田中さんが投げているのを見て、必要だと思って投げるようになった」

 常に自分の指針となってきた存在とプロという同じ土俵に立った。「いつまでも、あこがれと思っていたらダメ。プロである以上はライバル」と物怖じすることなく、高い頂に目を向けた。

 最速157キロの直球を武器に準優勝した2年春のセンバツでは計772球を投げ、その後に右ヒジの故障に悩まされた時期もあった。だが、ヒジの不安も一蹴した。21日に後輩相手にケース打撃の投手を務め、8割程度の力で球速146キロをマークした。「思っていた以上のボールが投げられた。違和感もまったくなかった」と明かした。

 まだ18歳。交渉の席に着いた長島哲郎スカウト副部長は「伸びしろや期待感で一番ワクワクする選手と契約でき、喜んでいる」と語った。その一方で剛腕の思いは違った。

「自分で将来性に賭けると成長は止まる。もちろん開幕一軍、ローテーションに入るつもり。仕事になる以上、いつクビになるか分からない。1日1日が勝負です」

▲会見でもプロでの抱負を力強く語り、あらためて決意を新たにしていた



 数年後ではなく、1年目から活躍する姿を思い描き、自分自身への大きな期待を抱きながら大投手に向けた歩みを始める。
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