@沖縄県・宜野湾市立野球場、取材・文=滝川和臣、写真=小山真司 
2年目はピッチング技術だけでなく、1年間投げ抜くための体作りにも意識を置く
スロー調整と報道されていた守護神・
山崎康晃の調整ピッチが第3クールに入り上がってきた。球数は少ないものの、「カウント2-1、ツーシーム!」「2-2、アウトロー真っすぐ!」と状況を設定した実戦さながらのピッチングをブルペンで披露した。
2月11日、午前中に行った投球の球種をチェックしていると時折、昨年までは見られなかった変化球を試していた。番長・
三浦大輔のそれとそっくりのブレーキの効いたカーブだ。リリース時、頭上で“抜く”いわゆるドロップのような軌道。
「スライダーやカーブでピッチングの幅を広げたい。カーブは三浦さんを見て、盗んで試しています」
新人セーブ記録を更新する37セーブをマークし、新人王を獲得したデビューイヤー。ちょうど1年前の今頃は“ナックルボーラー”として話題を呼んだこともあったが、クローザーとしてやっていく過程で「確率の低いボールを消していった」(山崎)。結果、残ったのがストレートとツーシームだった。この2球種で球界を代表するクローザーの地位を確立。しかし、相手も研究してくるであろう2年目は、同じことをやっていては昨シーズンを超える数字は残せない。そこで選んだのがスライダーであり、カーブだった。

投球後にはボールを受けた高城からのインフォメーションを確認、次の投球に生かしている
この日の球数は54球。ストレート、ツーシーム、そして去年シーズン後半から使っていたスライダーに加えて、4球だけカーブを試した。続く立ち投げでは、カーブのリリースポイントを入念にチェック。
「イメージは打者の目線から外れるようなカーブが理想。初球からポーンと投げられたら、打者は手が出せないんじゃないかな。去年と違う自分が見せられれば」“小さな大魔神”はピッチングの引き出しを広げることで、「2年目のジンクス」を打ち破る。