「2年目のジンクス」なんてどこ吹く風。開幕から快投を続けている有原航平、23歳。前半戦だけで早くも昨年の勝ち星を上回る9勝をマークし、勝利数と防御率はリーグトップの2冠。急成長を続ける2年目右腕に絶好調の要因、打倒ソフトバンクへの決意を聞いた。 取材・構成=松井進作、写真=阿部卓功(インタビュー)、高原由佳、早浪章弘 2年目右腕が手にした新たな武器と感覚
前半戦で登板した13試合でクオリティースタートを記録したのが11試合。現在のファイターズ先発陣の中でNo.1の安定感を見せている有原。2年目の躍進の背景には何があるのか──。その答えの一端が今回のインタビューの言葉の中に隠されている。 ──単刀直入にお聞きします。前半戦好調の要因にカットボールの進化とプレートの踏み方があると分析しているのですが、ご自身ではどう思われていますか。
有原 そうですね。まあ、必ずしもそれがすべてではないですけど、間違いなく大きなポイントにはなっていると思います。昨年までカットボールはあんまり使ってなかったんですけど、ピッチングの幅を広げるために今年はかなりの球数を投げているはずです。

今年から軸足のプレートの踏む位置を微調整したことで、ボールにさらなる球威を加えることに成功した
──手元のデータではストレートの45%に次いで、カットボールは30%の割合で投げています。
有原 (資料を見ながら……)やっぱり結構投げていますね。僕の場合は左バッターに投げることが多いんですけど、このボールが加わったことでストレートがより生きるようになりましたし、カウントも取りやすくなりました。
──カットボールを使うようになったきっかけは何だったのでしょうか。
有原 吉井(理人)コーチに今年のアリゾナキャンプで「もっと使ってみたらどうだ」と助言されてからですね。それからブルペンや実戦で試すようになって、徐々に手応えをつかんでいった感じです。昨年は取ろうと思っても取れなかったゴロアウトも多くなりましたし、いまはストレートと同じくらい投球の軸になってくれているボールですね。
──あとは軸足のプレートの踏み方。昨年との違いを分かりやすく教えていただけますか。
有原 アマチュア時代から軸足である右足はずっとプレートの前に置いて投げていたんですけど、今年のオープン戦あたりから少しだけ斜めにかけるようにしたんですよね。本当に右足外側の半足分ぐらいで、見た目にはほとんど分からないかもしれませんけど。これによって体重移動がスムーズになりましたし、ボールの質も変わったかなとは自分では思っています。
──変えようと思ったのはなぜ?
有原 プレートに関してはいろいろ試行錯誤しているうちに「あっ、投げやすいかも」と思って自分の判断で取り入れました。それに昨年は納得のいくシーズンではなかったので、何かを変えたいという気持ちもあったので。
──ルーキーながら8勝をマークして新人王も獲得。それでも不本意な1年だったと?
有原 自分の中ではまったく活躍できたとも思っていないですし、8個の勝ち星も野手の皆さんが援護してくれたおかげで勝たせてもらった試合ばかりなので……。周囲が言うほど達成感とか充実した感覚はなかったですね。
──その悔しい気持ちが現在の好結果につながっている。
有原 それは間違いなくあります。昨年がうまくいかなかったので、何が何でも今年こそはしっかりとした結果を出したいと思っていましたから。
──チーム内には親交も厚い
大谷翔平選手がいますが、有原投手にとって彼はどんな存在ですか。
有原 翔平ですか?どんな存在なんでしょうね(苦笑)。まあ、チームメートとしては本当に頼りになりますし、抑えるところはしっかり抑えるピッチャーだなといつも思っています。もちろん刺激も受けますけど、ライバルという感覚ではないんですよね……ボールの速さとかを含めてアイツはちょっと次元が違うので(笑)。それでも、チームとしては僕らが頑張ることによって、チームの成績も上がっていくでしょうし、これから先も切磋琢磨していければとは思っています。
──現在の課題、また将来的にはどんなピッチャーになっていきたいですか。
有原 とにかく長いイニングを投げられる、先発完投ができるピッチャーですね。1イニングでも多くマウンドに立つ。それは長年の課題であり、これから先もずっと追い求めていきたいところです。それ以外にも、もっと力のあるボールを投げられるピッチャーになりたいですし、コントロールも良くなりたい。挙げていけばキリがないですけど、そういった部分では貪欲に野心を持ってこれからもやっていきたいと思っています。
──黒木(知宏)コーチからはイニングの途中でマウンドを下りるなと常々言われているとか。
有原 そうですね。最低でもその回だけは投げ切れとはずっと言われています。中継ぎの方たちにも負担をかけてしまいますから。マウンドに立った以上、最低でもそのイニングだけは自分で必ず終わらせるんだという気持ちはいつも持って投げています。