シーズン106盗塁、通算1065盗塁と当時の世界記録でもある異次元の記録を打ち立てた“世界の盗塁王”福本豊氏と、史上ただ一人の三冠王捕手であり、球史に残る名将でもある、野村克也氏の超豪華対談が実現。今回は、新春特別企画として、その模様を、かな~りカットしておよそ2万字にまとめ、昭和33年(1958年)創刊の本誌史上(おそらく)最長対談として掲載する。 取材構成=井口英規、写真(インタビュー)=阿部卓功 レジェンド2人の対決が日本の野球を変えた!
福本豊氏は、著書『走らんかい!』(小社刊)で、ある人物がいなかったら「僕の盗塁数は間違いなく1500個を超えてた、と思う」と書いている。ご存じ、ノムさんこと、野村克也捕手だ。“対野村捕手”だけの話ではない。2人のギリギリの駆け引きから生まれた“小さなフォーム”(野村氏談)クイック投法は、“福本の足”という絶対的脅威ゆえ、瞬く間に他球団に広がり、いまに続く球界のスタンダードな技術となった。つまり2人は“敵対”しつつも、クイック投法定着に関しては“協力者”でもあったということだ。切磋琢磨、この言葉が、これほどふさわしい関係はない。 野村 フク、今日は大阪からわざわざなんだい。俺と話したいことがあるそうじゃないか。
福本 ずっとすれ違いやったじゃないですか。同じ球場行っていても、なかなか会えんかったし、久しぶりに監督(福本氏は野村氏を「監督」か「ノムさん」と呼ぶ)といろいろ話したいと思いまして。
野村 なるほど、俺が死ぬ前に会っときたいというわけやな(ニヤリ)。
福本 ちゃいますよ、もう(笑)。
野村 まあ、いいか。フクは日本の野球を変えた大功労者だが、俺は何も残してないしな。
福本 なに言いますか!監督こそ球界の大功労者、生き字引やないですか!クイックを最初にやらせたんも監督だし。あれはびっくりしましたよ。
野村 おう・・・
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