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SPインタビュー新指揮官に聞く
西武・辻発彦監督×伊原春樹対談「我慢は得意。しっかりと見極めて、選手を育てながら勝つ」

 

3年連続Bクラス――。過去に黄金時代を誇った栄華が見るべくもないほど低迷を続けている西武。王者の誇り奪回へ。「CATCH the ALL つかみ獲れ」をスローガンに新たに指揮を託されたのが、かつての名二塁手の辻発彦監督だ。王者の遺伝子を組み込まれた男が全身全霊をかけて優勝を目指す。現在、南郷の地で熱く指揮を辻監督に前々監督の伊原春樹氏が迫った。
取材・構成=小林光男、写真=湯浅芳昭

ベンチでジッとはしていられないかも


伊原 昨秋に監督就任してから4カ月経ち、今は春季キャンプで選手を鍛えている段階だけど、公式戦に入るまでは監督という職業は楽しいんだよな。

辻 それは、よく分かりますよ(笑)。シーズンになったら勝ち負けがかかってきますから。今は毎日、楽しいですよ。

伊原 辻監督は選手としては広岡(広岡達朗)監督、森(森祇晶)監督、野村(野村克也)監督の下でプレーして、コーチとしては落合(落合博満)監督らに仕えてきたわけだけど、いろいろなタイプの監督がいただろう。誰か参考としている監督はいる?それと自分はどんなタイプの監督になると思っている?

辻 皆さん、非常に素晴らしい監督で僕自身、たくさん勉強させてもらいました。ただ、やはり人間ですから三者三様ですよね。自分とは違う考えを持っているという場面に出くわすことも多少はありました。だから、どの監督を目指しますか、と聞かれても答えようがありません。例えば状況によって、「こういうとき、あの監督はこうしていたな」と参考にすることはあるかもしれません。でも、やっぱり、自分は自分でしかないですからね。

伊原 それは確かにそうだよな。

辻 ベンチで厳しい顔をしている監督もいれば、ニコニコしている監督もいました。多分、僕はジッとしていることができない(笑)。おそらく選手と一緒になって、声を出しながら一喜一憂してしまう気もしています。まあ、そこはある程度、抑えないといけないかな、と考えたりもしますが。

伊原 確かに勝敗は試合が終わるまで分からないから、感情をあまり出さないほうがいいと思うな。とにかく、例えば指導法にしても、広岡監督だったら野手、投手に対して自ら身ぶり手ぶりで熱心に指導する。一方、森監督はブルペンに行ってもジッと見ているだけ。それで、練習後に投手コーチとミーティングで意見交換をして指導法を探っていく。そのへんの線引き、按配も難しいところだと思う。例えば辻監督が若手を打撃指導したら、選手からしたら監督は絶対的な存在だからアドバイスを聞くしかない。そういったときに打撃コーチの教えとズレがあってはいけないから。

辻 もちろん、そのあたりは分かっていますよ。僕もずっと、打者に目を配ることができるわけではないですから。そこは毎日、見ている打撃コーチのほうが、その打者のことをよく分かっているわけです。だから、何かアドバイスを送るにしても、しっかりと打撃コーチと話してからにしないといけません。それに投手に関して私は専門外ですからある程度、投手コーチに任せるつもりだし、どんどん意見を言ってもらいたい。もちろん、最後に決断するのは監督で、結果に関しては僕が責任を取りますから。


新外国人投手は“うれしい誤算”で


伊原 とにかく、いろいろな監督のいいところだけを取り入れる。それがベストだよな。それで、今年の戦力の話だけど、やはりまずはFAで楽天へ移籍した岸(岸孝之)の穴は大きいよな。最低でも2ケタ勝利を見込める投手がいなくなったわけだから。先発陣に関しては、どのように考えている?

辻 そうですね。昨年の成績を考えればチームトップの12勝をマークした菊池(菊池雄星)が中心となるでしょう。開幕投手を任せることにしましたし、「おまえを中心に戦う気持ちでいる」と本人にも伝えました。それと多和田(多和田真三郎)ですね。大卒新人だった昨年、7勝をマークするなど経験を積んでいますから。まず、この2人は柱としてしっかりしてもらいたいです。あとは野上(野上亮磨)と十亀(十亀剣)でしょう。昨年の成績は彼らの実力からしたら、非常に不本意だったのじゃないですか。

伊原 野上が3勝で、十亀が4勝か。確かに、まだ今年で30歳になるところだし、もっとしっかりとしないといかん。

辻 全然、物足りない成績ですよね。だから、先発陣は彼らがキーになると思っています。野上と十亀が本来の実力を発揮して、今年は昨年より勝ち星を大きく上積みしてくれれば。そうすれば、いい戦いはできると思います。

伊原 さらに若手投手にも先発として台頭してもらわないと困る。

辻 もちろんですね。高橋(高橋光成)、本田(本田圭佑)、國場(國場翼)ら可能性を秘めた楽しみな若手投手がたくさんいますから。ただ、例えば開幕からチームの連敗が続いて、プレッシャーのかかる状態でマウンドに上がることになると精神的にも厳しいじゃないですか。だから、貯金がある、いいチーム状況で若手投手がスタートを切れるようにしたいですね。そういった点もシーズンを勝ち抜く上でポイントになるかもしれません。

本田ら若手投手の台頭を望んでいる/写真=桜井ひとし


伊原 2年目の本田はオフにオーストラリアのウインター・リーグにも参加したんだよな。

辻 そうですね。外国人相手に、いいピッチングをしていました。それと監督に就任して初めて生で目にした試合が、昨秋のフェニックス・リーグを視察したときの中日戦だったんです。縁じゃないですけど、そのときに先発したのが本田。非常にまとまっていて、試合を作るピッチングをしてくれました。U-23にも選ばれて、エースとして世界一に貢献してくれましたし、本当に飛躍してくれたらいいなと思っています。

伊原 外国人投手はどう?昨年、シーズン終盤に加入して4勝をマークしたウルフがいて、さらに新外国人投手も3人獲得したけど。

辻 ウルフは実績がありますが、新外国人投手には過大な期待をしません。もちろん、昨年の広島がいい例ですが外国人が素晴らしい働きをしてくれたら上位に行く可能性は高くなるのは確かでしょう。

伊原 それは間違いない。

辻 新外国人投手の1人であるシュリッターは増田(増田達至)とその座を争うクローザー候補ですが、ボールにスピード、角度がありますし、ブルペンを見る限りではコースに投げられるので面白い存在でしょう。ただ、やっぱり新外国人投手は1人でも2人でも出てきてくれたら、と。“うれしい誤算”だと思うようにしますよ。

伊原 昨年は中継ぎだったけど、牧田(牧田和久)の使い方は?

辻 今年も中継ぎのほうがいいと思いますね。中継ぎ左腕では小石(小石博孝)や武隈(武隈祥太)、それに野田(野田昇吾)らがいますから。
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