メジャー・リーグで今季から導入が決まった敬遠四球の申告制。MLBのコミッショナー、マンフレッド氏が進める試合時間短縮に向けた試みの一つだ。従来であれば、メジャーのルール変更は1年後に日本球界で採用される流れとなることが多い。今回は、敬遠申告制について球界アンケートを行ってみた。 敬遠にはドラマがある?
すでにソフトボールの国際大会などでは採用されているルールであるが、ベンチから監督が審判に敬遠の申告をすれば、投手が4球を投げずに打者は一塁へ進むことになる。現状では、カウント途中からの申告敬遠が認められるかなど、すべてが明確になっているわけではないようだが、これから開幕に向け、整備されていくことになるのだろう。
今回の採用は、試合時間の短縮が大きな目標だ。本誌でも既報のように、バスケットボールのNBAなどにMLBの人気が押されている理由を試合のスピード感の不足、試合時間が長過ぎるからと考えているマンフレッド・コミッショナーの意見から誕生したものである。コミッショナーはこれ以外にもさまざま新ルールを提案しているが、選手会側から拒否されているものも多く、暫定的に今季はまず敬遠四球の申告制導入に踏み切った。来季以降もこの動きが続けば、いい悪いはともかく、野球というスポーツの“あり方”が大きく変化していくだろう。もちろん、これらを米球界のこと、日本とは関係ない、としてもいいのだろうが、野球には多くの国際大会があり、さらに2020年東京オリンピックもある。日本だけの“鎖国状態”は、困難になってくるはずだ。
ここではまず、敬遠申告制で“なくなるもの”を過去のプロ野球の例を挙げながら考えてみよう。
(1)敬遠暴投 これは毎シーズンのようにいくつも起こっている。単純な投手のコントロールミスだけではなく、腕を緩めて投げるのが苦手なタイプもいる。有名なのは、82年の開幕戦、大洋-
阪神戦[横浜]だ。阪神のサイドハンド、
小林繁がサヨナラ暴投で敗戦投手となっている。

82年4月3日の大洋戦で阪神・小林[中央]が敬遠サヨナラ暴投
(2)敬遠球を打つ これはかつて
巨人・
長嶋茂雄が得意とし、
こちらのコラム(槙原寛己の見解)のように、99年の巨人戦では阪神・
新庄剛志が・・・
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