4回目の開催となった2017WBCが幕を閉じた。優勝を遂げたのは準決勝で日本を下したアメリカ。2大会ぶりの王座奪還を目指した侍ジャパンは、前回に続き決勝を前にして敗れ去った。届かなかった世界一の座――。侍ジャパンの最後の戦い、そして熱狂に包まれた第4回WBCを振り返る。 本誌WBC取材チーム(決勝ラウンド)、記者=坂本匠、カメラ=小山真司※日付は現地時間 
2017WBC 決勝前のセレモニー。侍ジャパンは至高の舞台にたどり着くことができなかった
世界は遠く──。
準決勝 3月21日 日本●1対2○アメリカ 1対2という点差以上の力量差に愕然とした。日本の打者とアメリカの投手との間には、戦前の想像以上に大きな隔たりがあった、と言わざるを得ない。
1、2次ラウンド6試合で10本塁打46得点と、投手力をストロングポイントとしてきた日本は、望外の打力で準決勝へと勝ち上がったが、この日の得点は6回に
菊池涼介がアメリカ2番手のN.
ジョーンズから右翼席に運ぶソロアーチによる1点だけ。打線は散発4安打に沈んだ。

アメリカの先発・ロアークのツーシームの前に侍打線は沈黙/写真=Getty Images
「見た目以上に結構(ボールが)来ていた。あそこまで低めに集められる投手は、メジャーでもあまりいない」と
青木宣親でさえ脱帽したのは、アメリカ先発・ロアークのパフォーマンスだ。4回終了まで48球のうち実に39球が150キロに迫るツーシーム。日本打線はこの“動くボール”に対処できず、詰まったゴロアウト、力のないフライと凡打を繰り返した。この日、無安打1三振の
中田翔の言葉がすべてを言い表している。
「(先発のロアークは)みんなが思っている以上にツーシームが動いていました。予想以上でした。正直、あそこまで動くボールを日本で投げる投手はいない。そこに手こずりました。さすが、と言うのはおかしいのですが、素直にすごいと思いました」

1点を追う8回二死一、二塁、一打同点の場面で四番・筒香に回るも右飛に倒れた
N.ジョーンズから1点を奪ったものの、ミラー、ダイソン、メランソン、ニーシェック、グレガーソンとつながるリリーフ陣はメジャー屈指のクローザー&セットアップマンたち。150キロ超のスピードボールに変化の鋭いツーシーム、ハードシンカーなどを操る。短いイニングで攻略するのはメジャーの打者でも困難なことを考えれば、4イニングの間にロアークから得点を奪う糸口を見出せなかったことが、敗因の大部分を占めていた。

8回、先頭の代打・内川は右前打で最後のチャンスを演出した
1点ビハインドの8回無死一塁から一番・
山田哲人が犠打を成功させているが、フリーで打たせることが難しいほどベンチもその力の差を認めていた証拠である。

4回、これまで数々の好プレーでチームを救ってきた二塁・菊池がまさかのエラー。先取点を与えるきっかけになってしまった
なお、このようなクロスゲームの場合、ミスを犯したほうが不利になるのは当然のこと。4回のセカンド・菊池、8回一死二、三塁からのサード・
松田宣浩のファンブルは、「責められない」(
小久保裕紀監督)とはいえ、前者はその後の先制点に、後者は勝ち越し点に直接つながった。

7回から菅野のあとを受けた千賀は4連続三振と絶好のスタートを切ったが……
菅野智之はリーランド監督が絶賛するほどアメリカ打線を力と技術で抑え込み、その後を受けた
千賀滉大、
平野佳寿もアメリカ打線相手にフォークを駆使して互角に渡り合っていただけに、ミスによる失点は惜しい。

最後の打者・松田が空振り三振に倒れ、日本の世界一奪還の夢はついえた
試合前から降り続く冷たい雨、日本では少ない天然芝の屋外球場でのゲーム、V奪還への重圧などさまざまな要素も・・・
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