過去3度、開催国でありながらアメリカは優勝を果たせなかった。野球発祥の地の威厳はなくなりつつあった。しかし、第4回大会にしてついに悲願の頂点へ。同時に、その裏側では、旧態依然とした問題が起こっていた。 文=奥田秀樹、写真=Getty Images※日付は現地時間 
初のWBC頂点に立ち、偉大な野球大国・アメリカの威厳を保ったナインたち。その裏ではチームUSAとMLB球団との駆け引きが行われていた野球発祥の地アメリカがWBC初制覇!
Make AMERICA GREAT Again!
3月20日、ジム・リーランド監督の声は微妙に震えていた。チームUSAのエース格で投げるはずだったレイズのクリス・アーチャーについて聞かれたときだ。3月10日にコロンビア戦で4回、完ぺきなピッチングを見せた後、チームを離れた。
「はっきりさせるにはいい機会。まったくもって問題はない。彼はウチが決勝に進んだ場合、22日の試合に戻ろうとしていた。レイズの開幕戦に向けての調整で、16日、22日に投げねばならなかったが、16日はWBCの試合がなく、球団のキャンプ地に戻って投げた。次は22日。私たちはマーカス・ストローマンと決めていた。だからその日、ストローマンはWBCの決勝で、アーチャーはレイズで、それぞれ投げる。誰にとってもこれが一番良かった」と皮肉を込めた。アーチャーは志願してWBCに参加も、レイズは開幕へのルーティンにこだわり、登板を1日ずらすことも認めなかった。
さらにレイズの首脳陣はチームUSAに不満を言ってきた。アーチャーにはコロンビア戦で4回65球ほど投げてほしかったらしいのだが、41球で終わっていたからだ。好投したゆえの降板だっただけに、「当惑している」とリーランド監督は呆れていた。
21日の、日本との準決勝前も、「今日も3人の(各チームの)投手コーチと電話やテキストでやりとりした」と明かした。先発のタナー・ロアークはナショナルズに50球までとクギを刺され、リリーフ投手は、連投はダメで球数制限についても細かく決まっていた。試合後、「もしロアークが早々と降板していたら・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン