今号から新時代の旗手の横顔に迫るインタビューがスタート。第1回は、横浜DeNAベイスターズの佐野恵太だ。佐々木誠氏(元ダイエーほか、現ソフトバンク三軍監督)を伯父に持つが、プロへの道のりは決して平坦ではなかった。ドラフトでは12球団で指名された87人中、名前が呼ばれたのは84番目。DeNA最下位の9位指名とプロでのスタートは最後尾だった。しかし、キャンプとオープン戦で猛アピールに成功し、開幕一軍切符をつかんだ。 取材・構成=滝川和臣、写真=大泉謙也、BBM オープン戦で好アピール。勝ち取った開幕一軍
2017年開幕戦となった雨のヤクルト戦、六大学で慣れ親しんだ神宮がプロのデビュー戦の舞台となった。1点を追う8回表一死から代打で登場。カウント2ボール1ストライクから石山泰稚の141キロの真っすぐをフルスイング、結果は三塁ファウルフライに終わった。華々しいプロデビューとはならなかったが、ラミレス監督はその素材にベタ惚れだ。 ──ラミレス監督から開幕一軍をどういう形で伝えられましたか。
佐野 監督から直接、聞きました。最初に「おめでとう」と声をかけてもらい、「開幕一軍でいくから」と。ただし、試合への出場は、外野はレギュラー3人が固まっているから代打での起用が多くなるとも伝えていただきました。
──監督の言葉をどんな思いで受け取りましたか。
佐野 合同自主トレ、キャンプを通じて目標でもあったので、素直にうれしかったです。でも開幕してからイチから勝負です。気が引き締まりました。
──初めてのキャンプを経て、開幕に向けてうまく調整できましたか。
佐野 やっぱり最初は慣れないことばかりで、今までとは違う緊張感がありました。でも徐々にチームの雰囲気にも慣れてきて、今は野球がやりやすい環境でプレーさせてもらっています。
──プロ入りして戸惑ったことなどありますか。
佐野 プロは大学時代とは違い、個々の責任でやることが多いですね。自主練習の時間がしっかりとあり、明確な目的などを持っていないと成長できない場所だな、と強く感じています。
──オープン戦では、打率.319、本塁打2、得点圏打率.353。打点11はチームトップの数字でした。
佐野 オープン戦が終わって結果を聞いたときは、良い結果が残せたんじゃないか、と思いました。でも、1打席1打席の勝負、アピールすることに頭がいっぱいで打率や打点といった数字を気にする余裕はなかったというのが正直なところです。今でも変わりませんが、日々生き残りをかけた戦いなので。逆にいえば、そういう状態であったから余計なことを考えることなく、がむしゃらにプレーできたのかもしれません。
──打撃で数字を残せた要因はどこにあると自己分析しますか。
佐野 入団したときから僕は打撃でアピールしようと思っていたので、打席に入る前にタイミングを計ったり、準備の部分はこれまで以上に大切にしてきたつもりです。

4月8日の中日戦[ナゴヤドーム]、1点を追う7回一死満塁で代打で登場すると、プロ初安打となる貴重な同点適時打を放った。現状では代打での起用がメーンだが、入念なルーティンを繰り返し、「準備」を大切にしている/写真=榎本郁也
──ことあるごとに話題となりますが、ドラフト9位という下位での指名を受けての入団でした。
佐野 自分よりも先に名前を呼ばれた選手がほとんどです。でも一歩ずつ階段を上がるように、プロに入団してからが勝負だと思っていますし、ライバルに負けたくないという強い気持ちは持っていました。良いほうに考えれば、9位指名だったから・・・
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