順調に首位を突っ走っていた広島の勢いが鈍り、阪神が直接対決で一気に抜き去った。このまま阪神は2005年以来12年ぶりのVをつかむのか、それとも広島が1979、80年以来の連覇を達成するのか。序盤戦を振り返りながら「2強」の戦いを分析してみたい。 ※成績は5月15日時点 
若き四番・鈴木誠也[写真]をはじめ、投手陣にも新戦力が台頭する広島/写真=佐藤真一
広島を支えた“カモ”
前年4位の阪神と優勝の広島、開幕カードで対戦し、舞台は広島。しかも2強の首位争い──。熱心なプロ野球ファンなら、1985年を思い出すはずだろう。阪神が打線の爆発で優勝、いまだ2リーグ制唯一の日本一に輝いた熱狂の年だ。
もちろん、当時とは両者のチーム事情は違う。開幕戦は阪神、2戦目は広島が勝った部分も当時と違う。85年はその後、阪神が飛び出したが、今年は前年の覇者広島が2戦目から引き分けをはさみ、10連勝を飾った。
ただし、広島投手陣は、引退した
黒田博樹に加え、エースのジョンソン、抑えの
中崎翔太が長期離脱。それを
岡田明丈、
九里亜蓮らの台頭でカバーしたが、4月14日の阪神戦[甲子園]で、開幕戦に続き
メッセンジャーに黒星をつけられてから勢いが鈍る。開幕から16試合で防御率0.00の
ジャクソンをはじめ、
薮田和樹、
中田廉ら中継ぎ陣の踏ん張りで支えてはいるが、先発陣は安定感を欠き、防御率3.97はリーグワースト(5月15日現在以下同)。阪神に追い抜かれる要因ともなった。
打線は圧巻だ。チーム打率.278、36本塁打、33盗塁、197得点はいずれもリーグトップ。得点は、首位阪神に49点差だ。個人成績では若き四番・鈴木誠也が打点、五番・
エルドレッドが本塁打、
田中広輔と
安部友裕が盗塁、
丸佳浩が得点でトップに立つ。打線は水物ではあるが、数字だけを見たら「死角なし」と言える。それだけに先発投手陣の“本当の意味”での再建は急務だろう。
さらに言えば、5月13、14日の
巨人戦[マツダ広島]の連勝で広島がふたたび上昇気流に乗った、と見るのは早計だ。広島の今年の戦いの特徴は・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン