
2000安打を達成した荒木は記念ボードを掲げてファンの歓声に応えた/写真=内田孝治
2000本目の安打は実に“らしい”当たりとなった。6月3日のナゴヤドーム、0対1の4回一死で打席に立った
中日・
荒木雅博は、
楽天・
美馬学が投じた真ん中付近の134キロスライダーをきれいに右前にはじき返した。
「バットを止めましたけどね。ちょっとタイミング早いなと、やめようと思ったら、いいところに飛んでくれた」
同日時点で通算33本塁打。荒木を含めて史上48人を数える2000安打達成者の中では、
宮本慎也(元
ヤクルト)の59本塁打を下回る最少記録となった。
二塁手としてゴールデン・グラブ賞を6年連続受賞。2007年には盗塁王に輝くなど、守備・走塁を武器に定位置を死守してきた。データ頼みではなく、感覚を信じて守備位置を変え、安打を凡打に変えるポジショニングや、相手投手の配球を読み切った盗塁は39歳となってさらに磨きがかかっており、二遊間を組むルーキーの
京田陽太は「教科書のよう」と舌を巻く。だが、荒木自身はそれを公にすることを好まない。
「気づかれなくていいんです。僕はそういう野球人生を送ってきましたから。それがうれしいんです」
04年からの8年間で4度のリーグ優勝と1度の日本一を飾った中日黄金期の中で守備の要として欠かせない存在だったが、22年間のキャリアの中で一度もクリーンアップに座ったことはない。まさに陰の功労者だったが、この日ばかりはスポットライトを独占した。
「これからの目標は、自分も含めてチームが、心の底から強くなっていくこと。その中の一つのピースでいられればいい。強くなったチームの中で自分はやめていきたい」
試合後の会見ではホッとした表情を見せながらも、そう断言した。
まだペナントレースは半ば。たとえ光が当たらずとも、荒木の力は常にチームの勝利へと向けられている。

荒木の入団時に中日監督を務めていた星野仙一現楽天副会長[左]も応援に駆け付け、花束を贈呈した