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侍ジャパン女子野球TOPICS

侍ジャパン女子代表に新監督 異色の指揮官・履正社の橘田恵監督が就任

 

日本の女子野球に新風を吹き込む監督人事だ/文=飯沼素子


華やかな経歴の原点にある「落選」


 異色の監督が誕生した。橘田恵、34歳。女だから? いや違う。日本球界きっての国際人だからだ。

 現在、学校法人履正社で、スポーツ専門学校と高校の女子硬式野球部を率いている。2013年にはその専門学校を女子硬式野球の全国大会で優勝させ、この春には高校を女子高校生の全国大会で優勝させた。いずれも創部3年以内の快挙だ。指導手腕は申し分ない。

 そのかたわら、WBSCのテクニカル・コミッショナーとして、09年から5回、国際大会の運営に携わり、昨年の第7回女子野球W杯では、ついにWBSCから運営の最高責任者であるテクニカル・ディレクター(TD)に指名された。アジア初の女性TDにして、日本野球史上2人目のTDという名誉な出来事だった。

 その華やかな経歴は、実は女子野球日本代表の選考に落ちたことから始まる。兵庫県の少女野球リーグで腕を磨き、高校、大学時代は男子と一緒に硬式野球に励んだが、あと一歩で代表の座に手が届かなかった。

 しかし、その才能を惜しんだ選考委員が「お前は海外に行け」とアドバイス。オーストラリアに二度野球留学し、野球はもちろん、審判や語学を学んだ経験が評価されて、WBSCの仕事をするようになったのだ。

目指すはW杯6連覇と女子野球の普及


 女子野球日本代表の歴史は99年まで遡る。初めはアメリカに追いつき追い越せでやってきたが、今やW杯で5連覇するほどの強豪国にのし上がった。世界ランキングもぶっちぎりで首位を走り続けている。

 その監督を務めてきたのは、すべて男性だ。マッシー村上こと村上雅則広瀬哲朗新谷博、大倉孝一。彼らは日本を世界一にするべく、持てる技術を教え、戦略を練ってきた。

 しかし橘田はちょっと違う。

「もちろんW杯6連覇を狙います。でも、ただ強いだけではダメなんです。最強国だからこそ、世界に貢献できるチームにならなければ。代表選手たちには勝ちにこだわるだけでなく、大会を通してグローバルな視野を養い、世界に女子野球を普及させるのは自分たちなんだという使命感を持ってほしいと思っています」

 自身、ベネズエラの国際審判員を自宅に泊めて勉強の機会を与えたり、外国チームとの交流戦なども積極的に行っている。

 また、女子ならではの戦略についても一家言持つ。

「基礎技術など、男子野球から学ぶことはまだまだ多いですが、女子は女子の特性を生かした戦い方がもっとあるはずです。それを追求したい」

 日本の女子野球は今、世界を知る女性の手によって、新たなページを開こうとしている。その初陣は9月上旬、香港で開かれる第1回BFA女子野球アジアカップである。
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