
9月、カナダで行われたU-18ワールドカップでは大阪桐蔭・藤原[左]との“枚方ボーイズ一、二番コンビ”でチームをけん引
小園海斗には譲れないポリシーがある。9月、カナダで行われたU-18ワールドカップで使用したグラブには『日本一のショート』と刺繍してあった。試合会場から宿舎へ移動の際にもバッグには入れず、手元に大事に持つ。道具への愛着も一流選手の基本。こだわるショートの原点は小園が小学校時代、
ヤクルト・
山田哲人も在籍した宝塚リトルだ。
「作(作貴治)コーチが、野球選手としての僕を作ってくれたんです。気の遠くなるような数のノックを受けたり、併殺プレーにおけるスピード……。挙げたら、キリがありません」
中学時代は枚方ボーイズでプレー。かつて同チームを率いたのは鍛治舍巧監督。14年4月から秀岳館高(熊本)を率い、多くの出身者が同校へ進んだ。侍ジャパンU-15代表だった小園も、県外の強豪校から誘いがあった。しかし、ブレない。ここにも、一本筋の通った性格が見える。
「報徳は昔から強くて、家の近所。いつも学校前の道を通り、小さい頃からあこがれの目で、見ていました」
初志貫徹で地元の名門・報徳学園高へ進学した小園は、入学直後から遊撃のレギュラーを任された。1年あまり指導を受けた永田裕治監督は、17年春のセンバツ限りで勇退している。
「1年春から使っていただいて、良い思いをさせてもらった。1日でも長く甲子園で野球をやり、日本一の監督にしたいと思ったんです」
2年春にして自身初の甲子園。多治見高(岐阜)との1回戦では右越え本塁打。前橋育英高(群馬)との2回戦では右前安打の後、投球前に二盗を決める好走塁。履正社高(大阪)との準決勝で敗退し15年ぶりのセンバツ制覇は逃したが、小園は4安打を放ち、大会通算で18打数9安打5打点と“恩返し”ができた。
あこがれの場所でプレーする前、小学校時代の記憶がよみがえった。宝塚リトル・作コーチの言葉だ。
「甲子園へ行ったら、土と芝生の切れ目で守れ!」。その意図はこうだ。
「良いショートに見える、と。定位置が後ろならば、守備範囲も広がりますから、アウトになる率も上がる」
甲子園では球際の強さを披露。難しい打球も簡単に処理しているように見えたのは、作コーチからの教えを忠実に守ったからだ。ポジショニング、そして一歩目の反応。尊敬する選手はリトルの先輩・山田だが、理想のスタイルは守りは
ソフトバンク・
今宮健太、打撃はメッツ・
青木宣親。50メートル5秒8、遠投110メートルと、総合力の高い選手を目指している。

初めての甲子園で高い守備力を披露
今夏には侍ジャパンU-18代表に選出された。全国に16万人以上いる高校球児から選ばれた20人。早実・
清宮幸太郎、履正社高・
安田尚憲、広陵高・
中村奨成と3年生のスター選手と交じり、2年生は小園を含めて2人。枚方ボーイズで一緒だった大阪桐蔭高・
藤原恭大と再び、チームメートとなった。カナダへの出発前、国内合宿の練習試合の段階で、侍ジャパンU-18代表・小枝守監督は「一番・藤原と九番・小園は固定」と、三番・安田、四番・清宮へつなぐチャンスメーカーとして、全幅の信頼を寄せていた。
評価を決めたのは、アメリカとのオープニングラウンド第2戦。日本は散発2安打完封負けも、その2安打は藤原と小園。ボールが手元で動く外国人投手への対応力の高さを示した。打撃好調の小園は二番に昇格し、中学時代と同様、藤原との一、二番コンビでけん引。チームトップの(37打数)14安打、打率.378と木製バットでの結果に自信を深めた。12安打(打率.333)の藤原と並び、2年生はチームに欠かせない“中心選手”となったのである。
ドラフトまで1年。「体を大きくして、高校でプロに行きたい」と力強い抱負を述べた、そして“世代No.1”への意気込みを聞くと、小園らしい返答が来た。「引っ張っていきたい気持ちはありますが、練習が一番大切」。今秋は県大会3回戦で敗退し来春のセンバツは絶望的。だが、小園は目標を見失わず、足元をしっかり見つめている。
PERSONAL CHECK
高い守備力が評価されるのは、脚力があるから。走塁におけるトップスピードも出色であり、スタンドが沸く。国際大会で木製バットの対応力を証明し、3拍子で勝負できる。
50m走 5.8秒 遠投 110m 打力 4 守備力 4.5 走力 4 メンタル 4 将来性 4.5 合計 21 ※各項目(打力、守備力、走力、メンタル、将来性)は5点満点 PROFILE こぞの・かいと●2000年6月7日生まれ。兵庫県出身。178cm73kg。右投左打。逆瀬台小1年時に宝塚リトルで野球を始め、光ケ丘中では枚方ボーイズに在籍し、3年春に全国大会優勝。侍ジャパンU-15代表に選ばれ、アジアチャレンジマッチ(松山)出場。報徳学園高では1年春からベンチ入りし、同夏からレギュラーで2年春のセンバツ出場。同夏は県大会準決勝、同秋は県大会3回戦で敗退。昨秋の新チームから副主将。
取材・文=岡本朋祐、写真=石井愛子 ※ベースボール・マガジン12月号より転載