兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅(ソフトバンク)と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサーで現スポーツアンカーの田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちをプロ野球現場の最前線で取材した至極のエピソードを、コラムにして綴る連載第5回です。 
鹿児島実高3年夏の杉内俊哉。小さな体を目いっぱい使ったダイナミックなフォームだ
愛息子のために
「もう1回……もう1度だけでいいから一軍のマウンドに上がりたいんよ。俺が一軍で投げている姿を見たら、息子がどんな表情をするのか、どう変わるのか、楽しみなんだよなあ」
昨年のシーズンオフに熊本の被災地復興のため、一緒に野球教室に行った夜にポロっとこぼした一言でした。この言葉を吐露したときの彼の表情が印象的過ぎて、あの夜、ほかにどんな話をしてのか思い出せないでいます。子どもたちを教える
巨人のエース番号「18」を背負うサウスポーの姿は優しく、柔和で、マウンドで投げている姿とは全く違うものでした。
杉内俊哉、37歳。
小さな身体を目いっぱい使い、マウンドで闘志むき出しにする熱投派。「負けず嫌い」と自負する杉内。マウンドに上がるとき、完全試合を目指し、それがクリアでできなければノーヒットノーラン、次に完封、完投……。相手より先にマウンドを降りることはよしとしない、これが小さな大投手・杉内俊哉という男のポリシーです。
マウンドを降りると彼の姿は一変し・・・
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