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廣岡達朗連載「やれ」と言える信念

廣岡達朗コラム「芸能人に入閣要請とは、驚いた」

 

投手コーチの打診を受けたと見られる宮本和知氏。89年にはリーグ優勝、日本一の胴上げ投手になった


 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは広島の3連勝に終わった。

 ファーストステージで巨人ヤクルトを下したときには、首位から13.5ゲーム差をつけられたチームには見えなかった。第1戦で上原浩治が回またぎの力投、翌日には菅野智之がノーヒットノーラン。目の色が違う。魂をこめて球を放れば、少々甘くなっても抑えられる。どうしてシーズン中からそういう気持ちでやらないのか。不満でならなかった。

 この時点で高橋由伸監督は辞任を表明していた。CS出場の可能性を残した段階での決断は理解できないが、次期監督候補として原辰徳の名前が浮上。組織が移行するナーバスな状況で迎えたファーストステージ、ピリッとした空気が早くも巨人ベンチに漂い始めていた。由伸の目はごまかせても、原の目はごまかせない。そんな意識の変化すら伝わってきた。やはり指導者の姿勢で選手というのは大きく変わるのだ。

 この勢いで広島をも食ってしまうのではないかと思ったが、フタを開けたら、あにはからんや本気で勝つ気があるのかと思える試合が続いた。

 選手が随所で笑顔を浮かべる姿が目についた。真剣味が足りない。私たちの時代には、セ・リーグを制しても選手権(日本シリーズ)で負けたら監督のクビが飛んだものだ。巨人の教育は他球団の教育とは全然違う。そういうことをいまの人たちは知っているのだろうか。

 腑(ふ)に落ちないのは、リーチがかかっていたにもかかわらず、菅野が投げなかったことだ。おそらくどこか故障していたのだろう。大黒柱が放れない上に、キャプテンの坂本勇人は第3戦の5回二死満塁の場面で決定的エラー。正面で捕るべきゴロから逃げた。備えができていない。それを指摘するコーチもいない。人工芝はイレギュラーしないため、深いゴロをワンバウンドで放ってもアウトになる。楽を覚えたら人間はどんどん横着になっていく。人工芝に慣れた巨人と土のグラウンドで鍛えられてきた広島との違いが如実に出た。

 結局、対広島7勝17敗1分け、マツダに限っては2勝9敗1分けというシーズン戦績がそのままCSでも反映された格好だ。広島の野球は、巨人に負けるはずがないという横綱相撲に見えた。鈴木誠也は、第1戦でメルセデスが初球に投じたインコースのカーブを特大の2ラン。広島の打撃陣はボールに対して逃げない姿勢というのは評価すべきだが、その背景に何があるのかということまで指導者なら考えなければならない。

 CSに敗れるのと時を同じくするように、原新体制のコーチ人事がスポーツ新聞紙上を賑わわせている。投手コーチに宮本和知、水野雄仁、打撃コーチに元木大介、ファームの指導者として村田修一杉内俊哉らの名前が取りざたされている。

 懸命に野球の勉強もせずに情報番組に出演している芸能人に入閣要請とは、驚いた。誰が人選をしているのか。一方で希望の光もある。村田は二軍で教える勉強をすればいい。杉内は手術してなぜ治らなかったかその経験を説けばいい。いずれにしても、原は今回の政権で次の監督を育てる義務がある。その候補が見当たらないのが現状だ。

PROFILE
ひろおか・たつろう●1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退任。92年野球殿堂入り。
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